S&P500が2年2カ月ぶりに史上最高値を更新

S&P500が2年2カ月ぶりに史上最高値を更新


先週の米国株式市場ではダウ平均が0.72%高、S&P500が1.17%高、ナスダック総合が2.26%高と主要3指数がそろって2週続伸しました。

12月小売売上高などの米経済指標が総じて強い結果となったことで米10年債利回りが上昇したことが重しとなりましたが、年初から下落が続いたアップルが大きく反発したことや、台湾セミコンダクター(TSMC)の強い2024年見通しを好感した半導体株が軒並み大幅高となり相場をけん引しました。


昨年12月中旬に1年11カ月ぶりに史上最高値を更新したダウ平均は、週末19日に12営業日ぶりに取引時間中の史上最高値を更新しました。

S&P500は2022年1月に付けた史上最高値を目前にして足踏みが続いていましたが、19日に大幅高となり、2年2カ月ぶりに取引時間中と終値の最高値を更新しました。

ナスダック総合は史上最高値まで約5%に迫る一方、時価総額上位銘柄で構成されるナスダック100指数は18、19日に連日で取引時間中と終値の最高値を更新しました。

 


IT、コミュニケーションがS&P500高値更新の原動力


2023年末に史上最高値まで0.56%(終値ベース)に迫ったS&P500は今年に入り1.47%上昇し、2022年1月3日以来、2年2カ月ぶりに過去最高値を更新しました。

年初からのセクター別騰落率を見ると、ITが4.95%高、コミュニケーションが4.24%高となったほか、ヘルスケアが2.24%高、金融が0.74%高、生活必需品が0.14%高となりS&P500の上昇に寄与しました。

一方、エネルギーが4.33%安、素材が3.90%安、公益が3.77%安、不動産が3.38%安となったほか、一般消費財と資本財も1%超の下落となりました。


年初来上昇率1位のITは2023年に56.39%高、2位のコミュニケーションも昨年に54.36%高と急騰しましたが、今年も堅調が続いています。

一方、昨年41.04%高となった一般消費財は、時価総額上位のテスラが年初から14.60%安となったことが重しとなり、年初来でマイナス圏となっています。

 

エヌビディアが連日で上場来高値を更新


S&P500の高値更新の原動力となったITセクターでは、通信機器のジュニパーネットワークスが年初来で26.90%高、半導体のエヌビディアが20.13%高と急伸し、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、パロ・アルト・ネットワークス、アリスタ・ネットワークスも2桁高となりました。


コミュニケーション・セクターでもメタ・プラットフォームズが8.33%高、アルファベット(クラスA)が4.79%高と時価総額上位銘柄が大幅高となりS&P500を押し上げました。


エヌビディアは昨年に238.87%上昇し、S&P500の年間上昇率トップとなりましたが、今年も年初からの3週間で20.13%高となり、年初来上昇率でS&P500の2位となっています。

昨年の急騰で高値警戒感が強まったものの、PCやノートパソコン向けの新型人工知能(AI)用チップを発表したことや、台湾セミコンダクター(TSMC)が2024年通期の20%増収見通しを発表したこと、メタ・プラットフォームズが大規模な人工知能(AI)インフラを構築すると発表したことなどで業績拡大期待が続いています。


週明け22日の取引でもエヌビディアの株価は前日比1.63ドル高(+0.27%)の596.54ドルと3日続伸し、今年に入り13営業日中、7日間で上場来高値を更新しました。


株価の大幅高で予想株価収益率(PER)は48.45倍とS&P500の19.88倍の2倍以上に上昇しましたが、リフィニティブが集計するアナリスト48人の目標株価の平均値は642.20ドルと、22日終値を約8%上回る水準となっています。



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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