2026年7月31日に、日米両政府が外国為替市場で円買いの協調介入に踏み切りました。8月3日には共同声明という形で正式に公表され、市場に大きなインパクトを与えています。
日米が足並みをそろえて為替市場に介入したのは2011年の東日本大震災直後以来15年ぶり。しかも「円買い方向」での協調介入となると、アジア通貨危機を受けた1998年以来28年ぶりの出来事と言われます。
「円安はいつまで続くのか」という相場観にも変化が生じてきています。日経平均採用銘柄の多くは製造業であり、円安の恩恵を受けやすい企業です。一方で私たちの生活からすると、過度な円安は輸入品の値上がりにつながります。為替水準のいい塩梅がどこなのかを量るのは難しいところ。
輸入コストが下がることはうれしいことですが、株式投資ではマイナス要因となり得るのが円高です。では逆に、円高に振れたときに恩恵を受けるのは、いったいどの業種なのでしょうか。今回は円高メリット銘柄について掘り下げていこうと思います。
円高が利益を押し上げる仕組み
円高とは、例えば日本円=米ドルでいえば同じ1ドルのモノをより少ない円で買えるようになる状態を指します。つまり、海外から原材料や商品を買ってくる企業にとっては、仕入コストがそのまま下がることを意味します。例えば1ドル160円から159円に動けば円高、161円に動けば円安なので、円の数字が小さくなると円高、大きくなると円安であることには注意が必要です。

日本は原油・液化天然ガス(LNG)といったエネルギーのほぼ全量、小麦や大豆、飼料などの食料についても相当量を輸入に頼る構造にあります。これらの取引はドル建てが中心のため、為替が円高に動いた分だけ円換算の輸入コストが軽くなる計算です。
もちろん逆のパターンもあります。自動車や電機、機械といった輸出型の製造業では、海外で稼いだドルを円に換算する際の金額が目減りするため、円高は減益要因です。円高局面は、この「日本経済の中の輸入サイド」に光が当たる局面だと整理すると分かりやすいでしょう。
恩恵を受けやすい代表的な業種
具体的には、次のような業種が円高メリットを受けやすいとされています。

ただし、注意点もあります。電力には燃料費調整制度、航空には燃油サーチャージがあり、コスト低下分が制度を通じて価格に反映されるため、必ずしも全額が利益として残るわけではありません。為替予約によるヘッジを行っている企業も多いため、効果が損益に表れるまでに数カ月から半年程度のタイムラグが生じるのが一般的です。
円安一服と値上げ=利益押し上げ?
今回の協調介入は、円安に歯止めをかけるという意味で強い効果を発揮しました。一方で市場関係者の間では、介入はあくまで「時間稼ぎ」との見方も根強くあります。自然な流れで円高が進むには、日米の金利差、積極財政に伴う国債増発への懸念、日銀の政策姿勢といった構造的な要因の解消が必要と言えます。
ただ、政府からは「さらなる協調介入に躊躇しない」といったけん制発言もあるなど、再び過度な円安が進むようなら介入することを示唆しました。中東情勢が悪化したことでモノの値上がりに拍車がかかりましたが、輸入企業はそれに対応するため一段のコスト削減や価格改定に取り組んでいます。
ここから1ドル150円、140円、130円とハイペースでこれまでと真逆の動きになるとは思えませんが、円安の一服×コスト削減と値上げの相乗効果により、円高メリット企業は苦しい中でも成長していくかもしれません。



