筆者は独立系ファイナンシャルプランナーとして事業展開をしています。本メディアのような執筆案件のほかにも、事業会社などからさまざまなお仕事の依頼が入ってきます。特にNISA新制度が開始した2024年は「マネースクール」の講師依頼が多く、その中身もマイクを持って話すというよりも、企画段階からゼロイチで関わる企画も目立ちます。
そんななか、ペルソナ設定としてマネースクールに通うことになる「投資を始めたけれど、いまいち自信を持てていない」人たちがどのようなことに不安を感じているか、考える機会がありました。
スイングトレードをはじめるにあたっての情報過多
現在ご依頼を頂いている某社のマネースクール事業は、NISAを中心とした長期投資よりも、「スイングトレード」を前提としています。スイングトレードとは2-3週間で売買する短期寄りの投資手法のことです。当然ですがつみたて投資よりも難易度が高い一方で、売買のタイミングによって高い結果を残すことができます。
スイングトレードは決算やIR、適時開示などをタイミングとし、企業まわりの情報が「コンセンサス」と「サプライズ」のどちらかなのかを分析します。コンセンサスとは既に株価に織り込まれている情報のことです。決算発表前に予想された数値や、上方・下方修正のことです。一方のサプライズとは、コンセンサスの上に成り立つ新しい情報のことです。サプライズが報じられると、株価が大きく上下し、投資家にとって大きな損益が生まれる可能性があります。
2024年夏以降に相場を賑わせた「政策金利」
2024年9月現在、日米をはじめとした株式相場で最も関心を持たれており、同時に最も不安定要素となっているのが政策金利です。9月に報じられた意思決定にて、まずアメリカは0.5%の利下げを実施することが報じられました(2024年内に更に0.5%下げる可能性をFRBは示唆)。一方の日本銀行は2024年8月に0.25%に設定した政策金利を9月は現状維持とする、との発表をしています。
11月(次回のFOMCや日銀会合の日程)以降の政策金利はどうなるのか。専門家によっても見解が異なります。特記すべきは、9月のFOMC前日になっても「利下げは0.5%以外の可能性もある」と報じられたことです。専門家や経済メディアによって意見が異なっています。
そのなかで個人投資家が政策金利が影響した為替を読み、そして影響のある個別銘柄を読むことは、とても難易度が高いことは間違いありません。
2024年秋以降の戦争リスクを読めるか
同様に株式相場に大きな影響を与えるのが戦争リスクです。ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルによるガザ侵攻と、それにともなう中東不安は、戦争リスクとして認識されています。これらのカントリーリスクがどうなるかは、アメリカなど関連国のリーダーを決める選挙結果にも依るところが多く、不確実性を否定できません。
政策金利と戦争リスクのほかにも、株式相場にはさまざまなリスクがあります。そのなかでも代表的な2つのリスクを考察しただけでも、「スイングトレードで安定した成績を残すことの難しさ」を実感します。ではマネースクールは何のためにあるのでしょうか。
自分にとって適切なポートフォリオを「更新」する
その答えは見出しのタイトルの通り、最適のポートフォリオを構築するためです。まっさらな状態で「なんの株が上昇するか教えてください」に100%回答できるマネースクールは存在しません(詐欺を除く)。受講生それぞれの投資ポートフォリオにもとづき、それぞれの答えを導くにあたって緻密な周辺情報を提供するのが、マネースクールなど株式投資のティーチング・コーチング事業の役割と考えます。
たとえば貴金属には金があります。2024年に著しく上昇を続けており、資産構築が見込まれる投資素材です。一方で金まわりの情報には織り込み済みと考えられる情報も多く、これから購入してホールドする場合に期待したような上昇基調が見込めない可能性もあります。
実際に筆者に近い専門家は、「資産ポートフォリオを10%から20%を上限として、金(現物・投資信託・ETFを含む)は手放すべき」と主張している人もいます。
そこで気になるのが、金の値動きに近い個別株です。これをアドバイスすることで、受講生が金が想定以上の伸びをしなかったときに、リスクを減少させることができます。
金だけではありません。個別株でも半導体や防衛株など、半年ほど前に著しく持て囃されたものの、最近どのような動きをしているんだっけ?という銘柄は散見されます。これらは週足や月足のチャートを見たところで、深い特徴まで理解することはできません。最新の傾向に対応した資産ポートフォリオに「更新」するために、筆者は個別コンサルティングがあり、マネースクールの存在価値があると考えています。