居酒屋などを運営するワタミは10月25日、サンドイッチチェーン世界大手SUBWAY(サブウェイ)の日本法人を買収したと発表しました。併せて、米サブウェイとマスターフランチャイズ契約を締結。日本国内においてサブウェイのフランチャイズチェーン(FC)店展開を始める予定としています。
マスターフランチャイズ契約の期間は10年間で、このあいだ日本においてサブウェイを独占的に展開することができるもようです。
サブウェイといえば、1965年に創業者のフレッド・デルーカ氏が学費を稼ぐため、米国コネチカット州にオープンしたサンドイッチ屋が始まりです。サブウェイの特徴でもある、顧客の要望に合わせてカスタマイズする独自のオーダーメイドスタイルはこの当時からのものであったとされています。
1974年にフランチャイズ展開を開始すると、またたくまに全米にひろがり、さらには世界中で4万店を展開するサンドイッチチェーンに成長しました。
日本での事業はもともとサントリーホールディングスが1991年に設立した日本サブウェイが始まりです。1992年に1号店をオープンするとピーク時の2014年には500店舗近くまで拡大したといいます。ですが2016年にフランチャイズ契約が終了したことに伴い、米サブウェイに運営がうつると2020年には200店舗前後まで規模を縮小していました。
今回、ワタミが日本サブウェイを買収したことで、今後は積極的に出店攻勢をかける方針のもようです。25日の日本経済新聞の記事によれば、同日開かれた記者会見において、同社の「日本で3000店を出せるブランドはサブウェイしかない。小商圏で出せるためマクドナルドに対抗できる」と日本事業買収の狙いを語ったとしています。
マクドナルドは現在国内で約3000店舗を展開。一方、サブウェイは前述したように200店舗ほどです。この段階でマクドナルドに対抗というのは少々、大言壮語にも聞こえる発言ではありますが、それだけ同ブランドに競争力があると渡辺会長兼社長が考えているということなのでしょう。
今後は「20年かけて3000店を目指していく」ともコメントしていたもようで、年間100店舗以上の出店ペースという野心的な目標を掲げているようです。
日本サブウェイの業績推移(売上高左軸 営業利益右軸 単位 百万円)
公表資料よりDZHFR作成
日本サブウェイの業績そのものは好調だとされています。売上高および営業利益は2021年12月期がそれぞれ4億5800万円、営業利益3400万円。2022年12月期が同6億3500万円、4600万円。2023年12月期が5億3600万円、3000万円となっています。2023年は減収減益となっていますが、既存店売上高は48カ月連続で前年超えとのことで、店舗数の減少などの要因があるのかもしれません。
ワタミによる日本サブウェイの取得額およびフランチャイズ契約額は非開示となっていますが、ワタミの決算からある程度は推測できるのではないかと考えます。11月14日に発表予定に25.3期上期決算はまだ契約締結前ですが、3Q累計決算の発表時には、何らかの変化が数字として表れるでしょう。
外食事業全体としては、近年ではコロナ禍からの回復と値上げにより堅調に推移していたと思われます。しかし、実質賃金がなかなか上がらない中で、値上げによる影響は客数にも影響を及ぼす業態もでてきており、人手不足や人件費の高騰なども手伝って、難しいかじ取りを迫られる場面も増えてきています。そのなかでのワタミのサブウェイ買収は、大きなチャレンジであると言えるでしょう。