(26日終値)
ドル・円相場:1ドル=137.64円(前営業日比△1.15円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=137.20円(△1.03円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9966ドル(▲0.0009ドル)
ダウ工業株30種平均:32283.40ドル(▲1008.38ドル)
ナスダック総合株価指数:12141.71(▲497.56)
10年物米国債利回り:3.04%(△0.02%)
WTI原油先物10月限:1バレル=93.06ドル(△0.54ドル)
金先物12月限:1トロイオンス=1749.8ドル(▲21.6ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標) <発表値> <前回発表値>
7月米卸売在庫(前月比) 0.8% 1.9%・改
7月米個人所得(前月比) 0.2% 0.7%・改
7月米個人消費支出(PCE、前月比) 0.1% 1.0%・改
PCEデフレーター(前年比) 6.3% 6.8%
PCEコアデフレーター(前月比) 0.1% 0.6%
PCEコアデフレーター(前年比) 4.6% 4.8%
8月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)
58.2 55.1
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を判断するうえで重視している7月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが予想を下回ると円買い・ドル売りが先行。前日には「データ次第では9月に0.75%利上げの可能性もある」と発言していたボスティック米アトランタ連銀総裁が「0.50%の利上げに傾いている」と述べたこともドル売りを促し、しばらくは軟調に推移した。
その後、パウエルFRB議長がジャクソンホール会議での講演で「9月の利上げ幅はデータ次第」としながらも、「早急な緩和のリスクを歴史が警告」「景気抑制の政策は一定期間必要になる可能性」と述べ、高金利をしばらく維持する方針を示すと一気にドル買いが強まり137.34円まで急上昇した。
パウエル氏の講演が10分程度で終了すると「材料出尽くし」として、いったんはドル売りが優勢となり、一時136.23円と日通し安値を更新したものの、目先の売買が一巡すると米金利が上昇し米国株相場が急落。為替市場では再びドル買いが優勢となった。取引終了間際には一時137.65円と日通し高値を更新した。
なお、パウエル氏は「インフレを抑え込むには家計や企業に何らかの痛みをもたらすことになるがそれは避けられないコストだ。ただ、物価の安定を取り戻すことに失敗すればもっと大きな痛みを伴うことになる」と述べ、記録的なインフレを抑制する決意を表明した。
・ユーロドルは小反落。「複数の欧州中央銀行(ECB)当局者は来月8日の定例理事会で、通常の3倍に当たる0.75%の利上げについて議論したい意向」との観測報道をきっかけに、欧州金利の急騰とともにユーロ買いが先行。パウエル氏の講演終了後にドル売りが強まったタイミングで一時1.0090ドルと本日高値を付けた。
ただ、そのあとは米金利上昇と欧米株価の急落を睨みながら再びドル買いが優勢に。欧州の天然ガス価格が過去最高値を更新し、ユーロ圏の深刻なエネルギー危機が警戒される中、域内景気の減速を懸念したユーロ売りも出やすく、一時0.9957ドル付近まで下押しした。
・オセアニア通貨は軟調だった。ダウ平均が1000ドル超下落するなど、米国株の急落を受けてリスクに敏感なオセアニア通貨に売りが集まった。豪ドル米ドルは0.6888米ドル、NZドル米ドルは0.6134米ドルまで下げたほか、豪ドル円は94.63円、NZドル円は84.25円まで値を下げた。
・ユーロ円は反発。9月のECB理事会で0.75%の利上げを議論する可能性があると伝わり一時137.96円と日通し高値を付けたものの、米国株が急落すると徐々に円買い・ユーロ売りが優勢となり136.77円付近まで上値を切り下げた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに大幅反落。パウエルFRB議長の講演を受けて売買が交錯したあとは大きく値を下げた。パウエル氏はインフレ抑制を最優先に利上げを続ける方針を改めて強調。金融引き締めの長期化観測が強まり、米景気が一段と悪化するとの見方から幅広い銘柄に売りが広がった。
市場では「インフレが早期に収束すればFRBは金融緩和方向に動くとの観測が出ていたが、パウエル氏の発言を受けて金融引き締めが強く意識され、景気が冷え込むことへの懸念が強まった」との声が聞かれた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日ぶりに大幅反落した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。パウエルFRB議長がジャクソンホール会議での講演で、インフレ抑制を最優先に利上げを続ける方針を改めて強調すると、金融引き締めの長期化観測が強まり債券売りが進んだ。半面、米景気が悪化するとの懸念から米国株が急落すると、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入ったため下値は限定的だった。
・原油先物相場は小反発。パウエルFRB議長の講演など、FRB高官の発言が米金利の高水準での推移継続の観測を強めた。景気回復を遅らせるとの見方から、エネルギー需要後退の思惑を誘った。原油相場の重さにつながったものの、石油輸出国機構(OPEC)や他の主要産油国による枠組みOPECプラスによる減産への動きが下落幅の拡大を防いだ。持ち直し、小幅プラスで週の取引を終えた。
・金先物相場は週初22日以来、4日ぶりに反落。欧州通貨やオセアニア通貨など多くの通貨に対してドル高が進んだことからドル建て金価格に割高感が生じ、金相場の圧迫要因となった。短めな年限を中心に米債金利へ上昇圧力が掛かったことも、金利がつかない資産である金への投資妙味を低め、相場の押し下げ要因となった。パウエルFRB議長の講演での発言などFRB高官の発言が、高金利の状態が続きやすいとの見方を強めた。