今回は、2024年のIPOで吸収金額(=公開価格×公開株数)が大きかった10社と小さかった10社の初値と現値(2025年4月30日終値)との比較で、どちらが儲かったのか確認したいと思います。なお、今回の集計では地方単独上場(名証、札証、福証)は対象外としています。
2024年のIPO吸収金額の大きかった10社
吸収金額の大きかった1位は、2024年10月23日に上場した旅客鉄道事業と都市・生活創造事業の運営を行う東京メトロ(9023)です。初値は公開価格を上回り、足元の株価も好調で公開価格と初値を上回る推移となっています。
吸収金額の大きかった2位は、2024年10月25日に上場したX線技術などを用いた理科学機器の製造・販売を行うリガク・ホールディングス(268A)です。初値は公開価格を下回り、足元の株価は公開価格と初値を下回っています。
吸収金額の大きかった3位は、2024年12月18日に上場したメモリーおよびSSDなど関連製品の開発・製造・販売事業などを行うキオクシアホールディングス(285A)です。初値は公開価格を下回ったものの、足元の株価は好調となっており、公開価格と初値をともに上回っています。
全体でみると、初値が公開価格を上回ったのが6社、足元の株価が公開価格を上回っているのが7社、足元の株価が初値を上回っているのが6社となっています。
2024年のIPO吸収金額が小さかった10社
吸収金額の小さかった1位は、2024年12月26日に上場したシステム開発・サービス提供やコンサルティングを行うフォルシア(304A)です。初値は公開価格を大きく上回り、足元の株価は公開価格については上回っていますが、初値は下回っています。
吸収金額の小さかった2位は、2024年3月26日に上場した地方創生事業や在宅医療事業を行うJSH(150A)です。初値は公開価格を大きく上回り、足元の株価は公開価格については上回っていますが、初値は下回っています。
吸収金額の小さかった3位は、2024年10月29日に上場したExpert AIを活用したAIプロダクトおよびAIソリューションの提供を行うSapeet(269A)です初値は公開価格を上回り、足元の株価も好調で公開価格と初値を上回る推移となっています。
全体でみると、初値が公開価格を上回ったのが10社、足元の株価が公開価格を上回っているのが5社、足元の株価が初値を上回っているのが2社となっています。
まとめ
結果としては吸収金額の小さい銘柄については、公開価格で取得し初値で売却すればIPOの方が儲かったといえます。しかし、公開価格で取得できるのは限られた人のみですので、狭き門となります。逆に、吸収金額の小さい銘柄を初値で取得した場合はひどい結果となっています。吸収金額が小さい銘柄の初値買いは大きな損失につながる可能性があるので注意が必要です。
吸収金額が大きい銘柄は初値で取得しても、勝率は6割(10社中6社が上昇)となっています。収金額が大きい銘柄を初値で取得することは難しくありませんので、IPO投資では金額が大きい銘柄を初値で取得することが有効のようです。
もちろん、リガクのように初値が公開価格を下回り、その後の株価も軟調推移になる場合もあります。収金額が大きい銘柄ということを入り口として、そこから業績動向やファンドの出口案件かどうかなど、しっかりと確認するようにして下さい。