NYマーケットダイジェスト・2日 株安・金利低下・ユーロ一転下落

(2日終値)

ドル・円相場:1ドル=140.20円(前営業日比▲0.01円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=139.57円(△0.13円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9954ドル(△0.0008ドル)

ダウ工業株30種平均:31318.44ドル(▲337.98ドル)

ナスダック総合株価指数:11630.86(▲154.27)

10年物米国債利回り:3.19%(▲0.06%)

WTI原油先物10月限:1バレル=86.87ドル(△0.26ドル)

金先物12月限:1トロイオンス=1722.6ドル(△13.3ドル)


※△はプラス、▲はマイナスを表す。


(主な米経済指標)        <発表値>    <前回発表値>

8月米雇用統計

失業率               3.7%        3.5%

非農業部門雇用者数変化      31.5万人      52.6万人・改

平均時給(前月比)         0.3%        0.5%

平均時給(前年比)         5.2%        5.2%

7月米製造業新規受注(前月比)   ▲1.0%       1.8%・改


※改は改定値、▲はマイナスを表す。


(各市場の動き)

・ユーロドルは小反発。ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム1」を巡り、「ガス供給は予定通り3日再開の見通し」との報道が伝わると、欧州のエネルギー供給不安が和らぎ欧州株相場が大幅に反発。投資家のリスク回避姿勢が後退しユーロ買い・ドル売りが優勢となった。

 注目の8月米雇用統計では、非農業部門雇用者数が31.5万人増と予想の30.0万人増を上回った一方、失業率と平均時給が予想より弱い内容となったことが明らかに。市場では米連邦準備理事会(FRB)が利上げをさらに加速するほど強い内容ではないと受け止められ、米長期金利が低下。全般ドル売りが優勢となり、一時1.0034ドルと日通し高値を更新した。

 ただ、NY午後に入ると一転売りが優勢に。ロシア国営の天然ガス会社ガスプロムが「ノルドストリーム1」について「当初の計画通りに稼働を再開できない」と発表。欧州のエネルギー供給不安が再び高まるとユーロ売りが強まった。4時30分過ぎには一時0.9945ドル付近まで下押しした。なお、市場では「G7がロシア産原油に上限価格導入で合意したことへの対抗手段ではないか」との声が聞かれた。


・ドル円はほぼ横ばい。米重要指標の発表を控えてしばらくは140円台半ばでのもみ合いが続いていたが、米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を上回ったことに買いで反応すると、一時140.80円と1998年8月以来約24年ぶりの高値を付けた。

 ただ、失業率と平均時給が予想より弱い結果だったことから、FRBの利上げ加速の懸念が和らぎ、米10年債利回りが一時3.17%台まで低下。全般ドル売りが優勢となり、139.92円付近まで下押しした。7月米製造業新規受注が予想を下回ったことも相場の重し。

 もっとも、米利上げ加速の懸念は多少和らいだものの、FRBが金融引き締めを長期化させるとの観測自体は変わらない。「ガスプロムは欧州向けパイプラインの再開を延期」との報道をきっかけに対ユーロ中心にドル買い戻しが進んだ影響も受けて、140.32円付近まで持ち直した。


・ユーロ円は小幅ながら反発。独株式指数(DAX)が3%超上昇するなど、欧州株相場の大幅反発を受けて円売り・ユーロ買いが先行。22時前には一時140.75円と日通し高値を更新した。

 ただ、NY午後に入ると「ノルドストリーム1は稼働停止を継続」との報道をきっかけに欧州のエネルギー供給不安が再び高まりユーロ売りが優勢となった。一時は370ドル超上昇したダウ平均が失速し、470ドル超下落したことも相場の重しとなり139.40円付近まで下押しする場面があった。


・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、7月18日以来約1カ月半ぶりの安値となった。8月米雇用統計で雇用者数は予想を上回った一方、失業率と平均時給は予想より弱い内容となったと伝わった。FRBの利上げ加速の懸念がやや和らぎ、幅広い銘柄に買いが先行した。指数は一時370ドル超上昇した。

 ただ、「ノルドストリーム1」の稼働停止が延長されると伝わると、欧州のエネルギー供給不安が高まり一転下落した。取引終盤には一時470ドル超下落した。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は6日続落し、7月26日以来約1カ月ぶりの安値で取引を終えた。


・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。8月米雇用統計発表直後は雇用者数が予想を上回ったことを理由に売りが出たものの、すぐに買い戻しが優勢となった。失業率と平均時給が予想より弱い内容となったことから、市場では米連邦準備理事会(FRB)が利上げをさらに加速するほど強い内容ではないと受け止められた。


・原油先物相場は4日ぶりに小幅反発。石油輸出国機構(OPEC)プラスの会合を5日に控えるなか、今週に大きく値を下げてきた反動による買い戻しが入った。


・金先物相場は6日ぶりに反発。昨日まで5日続落となった後だけに、米連休を控えた持ち高調整目的の買いが入った。また、外国為替市場でドル安が進んだ場面ではドル建てで取引される金の割安感を意識した買いも観測された。


為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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