大手格付け会社のムーディーズは5月16日、財政赤字の拡大などを理由にアメリカ政府に対する格付けを、最上位から1段階引き下げたと発表しました。
安全資産とされる米国債の格付けが引き下げられたことで、自身の資産をどう守るべきかを改めて考えた投資家の方もいらっしゃると思います。こうしたなかでゴールドの価格がまたそろりと上昇し始めています。
「有事の金」という言葉があるくらい、リスクに対する備えとして世界中で価値が認められているのが金の特長です。トランプ政権による関税問題や、中国の台頭による地政学リスクの高まり、インドとパキスタンの衝突など、さまざまな面でリスクが意識されるなか、株や債券より金に一部資金を移そうとする動きが金価格の上昇につながっているものと思われます。
では、金に投資するにはどうすればいいのでしょうか。貴金属店などで金そのものの現物を買うことももちろん可能ですが、必要になる金額が大きく、少額で買いたいという需要には適していません。株式投資をしているのなら、金価格に連動するETFを買うのがもっとも手軽な方法でしょう。
代表的な金ETF一覧
金ETFは普通株式と同じ感覚で売買でき、金額も少額からの投資が可能です。東京証券取引所には複数の銘柄が上場しており、最も規模が大きいのがSPDRゴールド・シェア<1326.T>で時価総額は14兆円と突出しています。1口から売買が可能で信託報酬は0.4%。迷ったらこれを買っておけばよいと言えるくらいメジャーなETFだと言えます。
より低い信託報酬ということであれば、2025年に上場したばかりの新しいETFでiシェアーズ ゴールド ETF<314A.T>があります。上場したてで規模はまだ小さいですが信託報酬が0.22%と安いのが魅力です。
また、愛称「金の果実」で知られる純金上場信託(現物国内保管型)<1540.T>は、一定以上の受益権口数を保有していれば金の現物と交換することができる特徴をもっています。手数料は必要になりますが、いつか現物も保有してみたいかもという方に向いているかもしれません。
定期的に積み立てをするなら、現物で純金積み立てを利用することもできますが、投資信託を活用することも可能です。三菱UFJ純金ファンドをはじめ、ブラックロックが運用する積み立て投資信託など、各運用会社が為替ヘッジありやなしなど、さまざまな投資信託を用意しています。
あるいは投資家として金そのものではなく金を採掘する企業に投資する、という選択肢もありかもしれません。国内では住友金属鉱山<5713.T>や三菱マテリアル<5711.T>などが該当しますし、外国株に手を拡げれば、さらに規模の大きな企業が複数あります。一つ一つの企業を精査するのは時間も手間もかかるなという人には、金鉱企業の株式を主要な投資対象とした投資商品もあります。「ブラックロック・ゴールド・ファンド」はNISA成長投資枠でも購入できる商品の一つです。
政治的にも経済的にも、まだまだ見通しが不透明な期間が続きそうですから、折に触れてゴールドも話題になると思います。