8月19日、システムソフト<7527.T>から非常に珍しいと言える開示がありました。「主要株主および主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」の中で、大量保有報告書(変更報告書)により、同社筆頭株主であるApaman Networkの保有割合が従来の13.98%から5.07%に低下し、第3位になるという内容です。
同日付でApaman Networkが提出した変更報告書の中身を見ると、8月12日に755万株4700株(割合8.91%)を市場内で売却したとあります。珍しいというのはその売却の理由であり、上記処分については、Apaman Networkが同社株式を保管していた証券口座に対する、第三者からの不正アクセスによる株式流出であり、意図した処分ではないため、買い戻しを順次検討して行くとのコメントが付記されていました。
下記のシステムソフトの日足チャートで、8月12日の値動きをみるとわかりますが、大量の売りが出て株価が急落し、売りがおさまってから値を戻したことで大きな下ヒゲを形成する局面がありました。売りの株数からしてこれはApaman Networkなのではないか、と指摘する声も市場では聞かれましたが、まさか理由が不正アクセスによるものとは想像もしてませんでした。
システムソフトの日足チャート
証券口座の不正アクセスと言えば、いまやわざわざ説明の必要もないほど投資家にとっては周知の問題であり、今もなお各社の対策が続いています。ですが、あくまで個人投資家への影響にとどまるもので、企業が保有する株式にまで不正アクセスがあるとは、と驚かされました。
こんなこともあるのかというとびっくりするだけではこの話はおわりません。不正アクセスの被害にあったということですから、その補償がどうなるかも注目されます。企業が保有する株式は、そのまま証券会社の法人口座で保有する場合もあれば、証券を代わって保管してくれる信託銀行などに預ける場合もあります。
あくまで想像になりますが、口座に不正にログインし売買できたということは、直接証券会社の法人口座で保有していた可能性が高いと思われます。原則として、不正アクセスの被害については、対面証券ならロールバックを検討、ネット証券であれば被害の半額を目安に金銭補償とされていますので、どの口座で保有していたかによって対応も変わってくることでしょう。
どちらにせよ不正ログインの被害が個人にとどまらず、企業にまで及んでしまったことはとても残念なことであり、企業側も証券会社側も今まで以上に注意が必要な時代になったと感じます。不正により株価が歪められることなく、安心して売買できる市場を早く取り戻したいですね。