先週は主要3指数が高安まちまち 主要3指数はそろって取引時間中の史上最高値を更新
先週の米国株式市場ではS&P500が0.33%高と反発し、ナスダック総合も1.14%高と3週ぶりに反発した一方、ダウ平均が144.02ドル安(-0.32%)と2週続落となりました。
1日月曜日がレーバーデーの祝日で株式市場が休場だったため4日間の取引でしたが、3連休明けの2日は高値警戒感が意識される中、米国債利回りの上昇が嫌気され軟調にスタートしました。
しかし、3日の取引では、グーグルのインターネット検索の独占禁止法違反問題で、米連邦地裁がウェブ閲覧ソフト「クローム」の売却を求めなかったことが好感されたアルファベットが9%超急伸し、同様の問題を抱えるアップルも4%近く上昇したことでハイテク株を中心に上昇しました。
4日に発表された8月ADP民間部門雇用者数や新規失業保険申請件数が予想より悪化したことで利下げ期待が高まったことも好感されたほか、週末金曜日は注目された8月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を下回る小幅な増加にとどまり、失業率も前月から悪化したことで、利下げ期待が一段と強まりました。
ただ、景気減速懸念が強まったことは上値の圧迫要因となりました。
ダウ平均は5日に取引時間中の史上最高値を更新したものの、週間では下落して終了し、S&P500は4日に終値の最高値を更新し、5日は取引時間中の史上最高値を更新しました。ナスダック総合は5日に取引時間中の史上最高値を更新し、終値ではほぼ最高値で終了しました。
S&P500 9月は過去最もパフォーマンスが悪い月
9月入りした先週はS&P500と、ナスダック総合が上昇した一方、ダウ平均が下落してのスタートとなりました。
主要3指数は先週、そろって取引時間中の史上最高値を更新しましたが、例年9月は一年の中で最もパフォーマンスの悪い月で、9月の株安アノマリーも意識されています。
図表2は、8月末時点でのS&P500の月別のパフォーマンスを示したもので、月別に過去5年、過去10年、過去20年、過去30年、過去50年の平均パフォーマンスを示しています。
全ての期間でパフォーマンスがプラスだった月は、1月、3月、5月、6月、7月、10月、11月の7カ月で、全ての期間でパフォーマンスがマイナスだった月は9月のみでした。
過去50年間では11月の+2.12%が最もパフォーマンスが高く、4月の+1.57%、7月の+1.24%、12月の+1.23%、1月の+1.05%がそれに次いでいます。
一方、過去50年間で最もパフォーマンスが悪かった月は9月の-0.65%で、2月の-0.02%がそれに次いでいます。
過去5年間で見ると、11月の+5.99%が最もパフォーマンスが良く、7月の+3.56%、5月の+2.35%、10月の+1.79%がそれに次いでおり、
5年間のパフォーマンスが最も悪い月は、9月の-4.17%で、4月の-1.40%がそれに次いでいます。
9月株安アノマリー 今年は違う?
株安アノマリーが意識される9月ですが、今年は例年とは違うという見方もあります。
楽観的な見方の一つは、トレンドとモメンタムです。S&P500の長期トレンドを示す200日移動平均線は今年5月2日以降、一貫して上昇しており(右肩上がり)、S&P500は200日移動平均線を5月12日以降、4カ月近く上回って推移しています。
また、マクロ面では9月16-17日に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)で最低0.25%の利下げが確実視され、場合によっては0.50%の大幅利下げの可能性があることも株高見通しを支えています。
一方、悲観的な見方もあります。投資家の不安心理を示すVIX指数は先週末時点で15.18ポイントと歴史的に低い水準にありますが、VIX指数が秋に上昇するケースが多く、現在のボラティリティが低いことが逆説的に懸念材料となっています。
また、トランプ関税についての司法リスクも意識されています。9月初めに米連邦控訴裁判所が関税の決定権は議会にあるとして、トランプ関税を違憲としたことで、徴収した関税の還付などによる財政悪化が懸念されました。
トランプ大統領は最高裁にこれらの判決の覆しを求めていますが、もし最高裁がトランプ大統領に関税を課す権限がなかったと判断した場合、米国政府は輸入業者に対し還付義務を負う可能性があります。
スコット・ベッセント財務長官は先週、最高裁に提出した宣誓供述書の中で、その還付額が7500億ドルから1兆ドルという途方もない金額になると警告しました。
最高裁がトランプ関税を違憲と判断し、米政府が巨額の還付金支払い、そのための資金調達となれば、財政悪化懸念や米国債利回りの上昇が株式相場の重しとなることが警戒されています。