バークシャー アルファベット取得に8年

アルファベットが大幅高 バークシャー・ハサウェイの取得を好感


週明け17日の米国株式市場はダウ平均が557.24ドル安(-1.18%)、S&P500が0.92%安、ナスダック総合が0.84%安と主要3指数がそろって下落しましたが、そうした中、検索大手グーグルの親会社のアルファベットが大幅高となりました。

著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが第3四半期中に1780万株(約43億ドル)のアルファベット株を取得したことが好感されました。


株価は17日の取引で一時、前日比17.53ドル高(+6.34%)の293.94ドルまで上昇し、8.61ドル高(+3.11%)の285.02ドルで終了。4営業日ぶりに上場来高値を更新しました。上昇率はS&P500のトップとなり、年初来では50.57%高となりました。

 


マグニフィセント・セブンの年初来上昇率はアルファベットが51%でトップ


アルファベットの株価は今年に入り、2024年第4四半期(10-12月期)の売上高が予想を下回ったことや、独占禁止法違反問題、サイバー・セキュリティ会社買収によるコスト負担増加懸念、検索エンジンでのアップルとの提携解消の可能性などが嫌気され株価の低迷が続いていました。


しかし、7月下旬に発表された2025年第2四半期(4-6月)決算が市場予想以上の増収増益となったことが好感され株価は上昇に転じました。

米連邦地裁が9月上旬に、インターネット検索の独占禁止法違反問題で、ウェブ閲覧ソフト「クローム」の売却を求めなかったことで、会社分割が避けられる見通しとなったことも好感されました。

また、10月下旬に発表された2025年第3四半期(7-9月)決算では、第2四半期に続いて予想以上の増収増益を達成し、ユーチューブの広告収入やグーグル・クラウド収入が予想以上に増加したことも好感されました。


アルファベットの株価は4月8日に、年初来で23.56%安まで下落しましたが、7月21日に昨年末水準を回復すると、17日終値では50.57%高となりました。


アルファベット以外のマグニフィセント・セブンは、年初来でエヌビディアが38.95%高、マイクロソフトが20.40%高、アップルが6.80%高、アマゾン・ドット・コムが6.14%高、メタ・プラットフォームズが2.82%高、テスラが1.26%高にとどまっており、アルファベットの上昇が際立っています。

時価総額は、トップのエヌビディアが4兆6210億ドル、アップルが4兆250億ドル、マイクロソフトが3兆7920億ドルで、アルファベットはそれに次ぐ3兆3390億ドルとなりました。


バークシャーのアルファベット株取得は8年待ち


バークシャー・ハサウェイにとって初めてのアルファベット株保有となりましたが、バークシャー・ハサウェイは過去何度もアルファベット株を保有していないことを後悔していました。


バフェット氏は同社の2017年の年次株主総会で、同社の自動車保険会社が、かなり初期の頃からグーグルの顧客だったとし、全くコストがかからないのに、誰かのクリックで収入が入るのは良いビジネスだとの認識があったものの、賢明な株の買い時を逃したことがあると語りました。2019年の年次株主総会でもバフェット氏と副会長のチャーリー・マンガー氏がアルファベットに関して同様な後悔を繰り返しました。


バークシャーがアルファベットを認識してから保有するまでに8年かかりました。2017年当時50ドル台だったアルファベットの株価は2019年に60ドル台になり、直近では300ドルに接近しています。


アップル株についても同様でした。バフェット氏は「分からないものには投資しない」とIBMを除きハイテク株には目立った投資はありませんでしたが、アップルがNY市場で時価総額トップを続ける2016年にアップル株を初めて保有しました。

また、マンガー氏はウォルマートについても見落としにより投資機会を失ったと後悔を口にしていました。


バークシャー・ハサウェイによる今回のアルファベット保有は、バフェット氏ではなく、バークシャーのポートフォリオの一部を運用する投資マネージャー、トッド・コームズ氏、またはテッド・ウェシュラー氏によるものだとみられています。


年末の退任を前にバフェット氏が重要な判断をすることはないとみられることや、通常1銘柄当たり100億ドル前後のバフェット氏の投資サイズに比べ、アルファベットの投資額はその半分以下と小さいためです。


バフェット氏は3000億ドルを超えるバークシャーのポートフォリオの約90%を運用していますが、トッド・コームズ氏とテッド・ウェシュラー氏は両氏合わせてポートフォリオの約10%を運用しています。しかし、年末のバフェット氏退任後は、コームズ氏とウェシュラー氏が運用の中核を担うと見られており、引き続きバークシャーの開示情報が注目されます。



国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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