ウェルズ・ファーゴが上場来高値更新

先週は主要3指数がそろって反発 米中貿易摩擦懸念の緩和や好決算などが追い風


先週の米国株式市場ではダウ平均が238.37ドル高(+1.56%)、S&P500が1.70%高、ナスダック総合が2.14%高と、主要3指数がそろって反発しました。


トランプ米大統領が中国との関係は良好だと発言したことで、前週末に強まった米中貿易摩擦懸念が和らいだほか、チャットGPTのオープンAIとの提携が好感されたブロードコムが10%近く上昇し、エヌビディア、オラクルなどのAI関連株も軒並み大幅高となったことで週明け13日に主要3指数がそろって大幅高でスタートしました。


その後は発表がスタートした第3四半期決算が総じて良好だったことや、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長などのハト派的発言を受けた利下げ期待に加え、オランダの半導体製造装置メーカーASMホールディングの強いガイダンスを好感した半導体株の上昇も支援となりました。

しかし、米中貿易摩擦の激化懸念が再び強まったことや政府閉鎖の長期化が嫌気されたほか、不良債権問題で地銀株を中心に金融株が下落したことが上値の圧迫要因となりました。

 


第3四半期決算発表序盤戦は総じて好調


10月9日からスタートした第3四半期決算発表は、先週までにS&P500採用の36銘柄発表を終え、そのうち34銘柄で調整後一株当たり利益が市場予想を上回りました。


貨物輸送・物流サービスのJBハント・トランスポート・サービシズは、売上高が小幅に減少したものの市場予想を上回ったほか、純利益が12%増加し、調整後一株当たり利益が市場予想を大幅に上回ったことで、株価は週間で20.25%高と急伸しました。

物流REITのプロロジスも利益が市場予想を大幅に上回り週間で11.55%上昇しました。このほか、アメリカン・エキスプレスが予想を上回る決算や見通し引き上げが好感され9.60%高となりました。


大手金融機関もウェルズ・ファーゴが週間で7.29%高、バンク・オブ・アメリカが5.41%高、モルガン・スタンレーが4.48%高、シティグループが3.34%高と軒並み大幅高となりました。


ウェルズ・ファーゴが上場来高値更新 予想を上回る決算やROE目標引き上げを好感


米銀行大手のウェルズ・ファーゴが10月14日に発表した2025年第3四半期(7-9月)決算は、純収入が前年同期比5.3%増の214億3600万ドルとなり市場予想の211億5400万ドルを上回りました。

純利益が同7.7%増の53億4100万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.66ドルと市場予想の1.55ドルを上回りました。また、2025年通期の自己資本利益率(ROE)の目標を従来の15%から17-18%に引き上げました。


決算発表を受けて株価は14日の取引で前日比5.64ドル高(+7.15%)の84.56ドルで終了。15日も2.25%高と続伸し、取引時間中と終値の上場来高値を更新しました。

週間では7.29%高となり、年初来では18.26%高となりました。


 


米銀大手バンク・オブ・アメリカが10月15日に発表した2025年第3四半期(7-9月)決算は、純収入が前年同期比10.8%増の282億4200万ドルとなり市場予想の275億200万ドルを上回りました。

純利益が同26.0%増の80億4000万ドルとなり、調整後の一株当たり利益は1.06ドルと市場予想の0.95ドルを上回りました。

好調な投資銀行部門が業績を押し上げました。


株価は15日の取引で前日比2.19ドル高(+4.37%)の52.28ドルで終了し、週間では5.41%高、年初来では16.68%高となりました。





 




国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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