外国人規制強化による不動産投資家への影響

2026年2月8日投開票の衆議院議員選挙にて、各党は公約として外国人政策を強く訴えています。一部の外国人が公的制度を不正利用している実情や、地域で問題を起こしている状況を踏まえたもので、概ね規制強化の方向が強いです。


どこかの党が自分たちの信念にもとづいて訴えるというよりも、全体を通じて強化の方向を向いている印象です。これらは主に不動産運用を進める投資家にとって大きな影響となる主張も多く、問題提起がなされています。


外国人による不動産の取得規制

各党公約を分析していきましょう。国民民主党からは「防衛施設周辺以外も規制対象に加える」という主張が並びました。2026年2月現在、2021年に公布された重要土地等調査規制法により、防衛施設や国境離島、原子力発電所周辺などの土地購入、および権利設定の際に内閣府への届出が必要となっています。


今回の公約ではこの法律を改訂し、いわゆる一般市民が生活する区域も条件により加えようとする試みがあります。もともと水源地や農地などが同法の対象外であり、中国をはじめとした海外の富裕層に買い進められている現状に懸念の声はあったものの、ここ数年の外国人とのトラブルの声を受けて規制拡大の方向に進んでいる印象です。


なお、諸外国では外国人が土地を買えない国(中国やカナダなど)も多いほか、外国人が不動産購入をした場合に60%もの税金を課すシンガポールなどの国もあります。



外国人労働者で栄える自治体への影響

この問題は、投資・資産運用の面からも影響があります。そのなかでも本メディアの読者層において大きな問題が、不動産投資家への影響です。人口減少の進む自治体では外国人労働者が地域の主力産業を担っているところも多く、現場には欠かせない人材となっています。


結婚や家族の帯同で家を購入したい場合、不動産購入規制は大きな障壁となります。つまり外国人労働者が不動産を買えない国はほかにもあるものの、日本では少子化を受け産業の担い手として確立されており、後発の規制強化が産業衰退を引き起こすのではないかという指摘です。


具体策の不明な外国人労働者の受け入れ制限

あらためて影響を考察すると、不動産投資家は賃貸物件の運営が多く、購入制限は限定的では?という指摘もあります。そこで問題になるのが購入規制よりも、今回の規制の主軸である、「外国人労働者の受け入れ制限」です。政権与党である日本維新の会は「2026年度中に外国人比率の上限設定の検討」を公約に含めたほか、存在感を増す参政党は「市区町村単位で5%までの人数制限」と踏み込みました。各党の急ピッチな施策には、それを支持する世論があるのでしょうか。


これらの規制が進むと、農業中心の自治体や、外国人労働者が自治体内の大規模工場の主要な人材となっている自治体では、受け入れの難しい取り決めとなります。また不動産投資家に限らず、地域商店など地元産業への影響も著しいものとなるでしょう。


各党の主張を並べると、ここまで規制強化が並んでいることに驚きます。それだけ国民のあいだに、日常生活が侵食されているといった危機感があるのでしょう。悪意のある行動をするのは一部であり、全体的な規制強化には反対の声もあがっていますが、勢いが不足している印象です。



不動産投資家は情勢をどのように受け止めるべきか

現時点の大きな懸念はスピード感です。不動産投資家が需要を見越して土地活用を検討し、実際に着手するという展開には数年のスパンを要します。本当に賃貸物件を建てて収支が回るのか、高騰する建築費はどうなるのかというポイントのほか、どの建設業者にするかといった業者選びのプロセスも大切です。


衆院選で争われている今回の規制強化は急ピッチ、かつ不透明な部分も多いです。2026年度中に受け入れ数値目標を設定するとした日本維新の会は連立与党であり、自民党に関しては「在留審査を厳格化」するというマクロの公約はあるものの、詳細は曖昧です。市区町村で5%の人数制限をするという参政党も選挙後に影響力を高める可能性が高く、「短い期間で大きく投資環境が変わる」可能性があります。


不動産投資は個別株や投資信託のように、「これまでの想定と変わってきたから解約」という撤退判断ができません。所有地に上物(建物)を建てる際、銀行など金融機関からの多額の借入金を活用するケースも数多くあります。


外国人労働者を多数雇用する工場や、農業中心の自治体で賃貸アパート経営を考える方は、選挙を経てこのあたりの施策がどのように、どれくらいのスピードで進んでいくのかを見極めて、自身の資産運用を動かしていくことが大切です。まずは総選挙後の一般会計予算と、各党の主張がどのような流れで実行されていきそうかの温度感を注視していきましょう。

独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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