ベッセント財務長官が…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2026年2月5日16時頃、対円では1120万円前後と前週(7日前)比で約17%低い水準で取引されています。BTCドルが7万1000ドル付近と年初来で19%弱の下落率を記録しています。
先週後半からBTC相場は軟調でしたが、足もとでさらに売りを強めたのは、米下院金融サービス委員会におけるベッセント財務長官の発言でした。財務長官は公聴会で、資産差し押さえにより取得したBTCの価値が大幅に拡大したことを評価し、トランプ米大統領の戦略的ビットコイン準備金政策を擁護しました。
これ自体は問題なかったのですが、その後のベッセント氏の見解が一部の市場参加者の期待を裏切りました。同氏は、納税者資金を使ったビットコイン購入や市場下落時の救済、民間銀行への購入指示の権限は財務省や米連邦準備理事会(FRB)にはないと、明確に否定しました。
米政府は犯罪者や組織から押収したビットコインを売却せず、備蓄資産として保有する方針を再確認しました。しかしながら、準備金として新たに購入することは今のところ考えていないようです。
「Bitcoin sinks after Treasury Secretary Bessent says US government can't tell banks to bail out crypto」 yahoo finance
「ビットコイン下落、ベッセント財務長官が政府は銀行に暗号資産の救済を命じることはできないと発言」

※Trading Viewより
BTC、先月末から重い動き
先月下旬からの動きを振り返ると、BTC円は1月28日深夜に1390万円台に乗せたところから失速します。翌29日に1300万円を割り込むと、ストップロス売りを巻き込んで1250万円も一時下回りました。一旦は持ち直しましたが、1月末にかけて再び下落圧力が強まりました。
2025年4月以来の1200万円割れで落ち着くかに見えたものの、戻り幅は限られました。2月に入り伸び悩む展開が続くなか、執筆時点では1100万円まで下げ幅を広げています。10月に記録した最高値から約42%下げ、2025年安値1079万円台が完全に視野に入ってきました。

※TradingViewより
BTCドルも1月28日の9万ドル乗せで頭を抑えられ、下値を試す展開となりました。昨年11月安値8万500ドル台の手前では一旦下げ渋るも、反発力は強まりませんでした。月末にかけて売り圧力が増すと節目の8万ドルを割り込み、ロングの投げ売りが更なる売りを呼ぶ展開となりました。
「買い手不在でビットコイン8万ドル割れ…」Bloomberg
暗号資産分析サイトcoinglassでは、先物市場の清算規模がグラフで確認できます。BTCの履歴をみても、1月30日と31日に突出してロングの強制ロスカットが多かったことが分かります。

※coinglassより
2月以降の清算規模は小さめですが、BTC相場の戻りは鈍いままでした。主要な買い手が不在のなか、BTCドルは昨年安値を割り込み、2024年11月以来の7万ドル手前まで売り込まれています。トランプ氏が米大統領選に勝利して以降の上げ幅をほぼ吐き出した形です。
「ビットコイン さらなる調整となるか?建玉急減と取引所流入増が示す…」コイングラス
複数の要因が重なり
ビットコインを始めとする暗号資産相場の大幅な下落は、複数の要因が重なった結果でした。
BTC相場を不安定にしたきっかけの1つは、米連邦準備理事会(FRB)の次期議長に、候補者の中でも相対的にタカ派とされるケビン・ウォーシュ氏が指名されたことです。市場は、想定していたより引き締め的な金融政策を懸念し始め、金利先高観からリスク資産を手放す動きが全般広がりました。
BTCドルとナスダック100先物も、土日を除いた部分では似たような動きとなり、BTCがハイテク株同様にリスク資産として扱われていることが分かります。
※ナスダック100とは、米ナスダック市場に上場する非金融企業のうち、時価総額が大きい100社で構成される株価指数。テクノロジー企業の比率が非常に高く、ハイテク株の動向をつかむ指標として最重要。
その後、先物市場でレバレッジをかけたロングポジションの大規模清算(ロスカット)が発生。また、現物ビットコインの保有者も含み損が50%近くに迫り、特に短期的な保有者は手放し始めたようです。現物BTCの上場投資信託(ETF)への資金流入も細り、月末には大きめの流出を記録します。
また、先月末には銀先物の暴落をきっかけとした貴金属相場の急落で、市場全般のリスクセンチメントが悪化しました。金や銀の下落に対してビットコインは受け皿とならず、逆に下方向に引きずられました。
「銀の35%の暴落が、稀な暗号資産の清算ショックにおいて」コインデスク
バーリー氏曰く
BTC相場の地合いの弱さが続くなか、著名投資家のマイケル・バーリ氏はビットコイン急落の影響連鎖を警告しています。
Bloombergが報じたところによると、バーリ氏は今回の動きで「ビットコインは純粋な投機資産であることが明らかになった」と言及しました。金(ゴールド)のような安全(ヘッジ)資産としての地位を確立できていないと述べています。
暗号資産支持のトランプ政権が誕生し、過去1年でBTCを財務戦略に組み込む企業が増えてきました。特にストラテジー社など、積極的にBTCを積み上げてきた企業にとって、長期的なダメージを被る可能性があると指摘しています。現在は約200社がBTCを保有していますが、相場の下落が続くようだと、リスク管理担当者が売却を助言するかもしれないとも、バーリ氏は警告しています。
機関投資家が積極的に購入した現物ETFも、ビットコインの投機性を更に強めたとバーリ氏は述べています。含み損が拡大すると強制清算が進む構造のようです。
以下がビットコイン財務戦略を実施している企業、保有量トップ100です。




