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【米国株インサイト】S&P500新規銘柄(後編):新規採用のエコスター、スペースXと提携へ

S&P500は米国の主要産業を代表する500社で構成される株価指数です。構成銘柄に採用されるには米国企業であることが前提で、それは米国内での売上高や固定資産、本社所在地などで判断されます。


このほかの要件には◇過去4四半期の純損益の合計が黒字で、直近の四半期の純損益が黒字◇グローバル産業分類標準(GICS)の分類に基づく産業バランスが適切――などがあります。また、時価総額の基準「227億ドル以上」で、2025年7月に引き上げられた後、変更はありません。


今回は2026年2月にS&P500に加わったシエナ(CIEN)、3月に構成銘柄になったバーティブ・ホールディングス(VRT)とエコスター(SATS)をご紹介します。


エコスター、衛星通信や有料テレビ事業を展開

エコスターは衛星通信、放送、無線通信などの分野で事業を展開しています。主な事業分野は有料テレビ、ワイヤレス通信、放送・衛星サービス、その他の4部門です。


主力の有料テレビ事業では、「DISH」や「SLING」のブランドを通じて衛星放送とインターネット配信型の有料テレビサービスを提供しています。2025年末時点の加入者数は約700万人です。2024年にはディレクTVと合併し、米国最大の有料テレビ事業者が誕生するとみられていましたが、最終的に破談に終わっています。ただ、部門別では有料テレビ事業が稼ぎ頭で、2025年12月期の売上高は前年比9%減の97億ドル、営業利益が8%減の24億2500万ドルです。


ディレクTVとの合併が破談になったことで財務的に厳しい状況に陥りましたが、救世主となったのは、イーロン・マスク氏が率いるスペースXです。エコスターは自社が保有していた周波数帯のライセンスをスペースXに約170億ドルで売却することで合意。財務が大幅に改善するとの見方が強まっています。



エコスターの放送・衛星サービス事業では、衛星を活用したブロードバンド通信サービスやネットワーク機器の提供、政府・企業向け通信ソリューションを展開し、航空機向け機内通信サービスなども手掛けています。スペースXとの提携を通じ、Starlinkを活用した衛星通信サービスの提供など新たな成長機会の創出にも取り組んでいます。


ワイヤレス事業では「Boost Mobile」や「Gen Mobile」などのブランドでモバイル通信サービスを提供しています。仮想移動体通信事業者(MVNO)としての事業が中心で、2025年末時点の加入数は711万件です。2025年12月期の売上高は前年比6%増の37億9600万ドル、営業損失が4億9500万ドル(前年同期は4億7800万ドルの営業損失)です。


バーティブ・ホールディングス、デジタルインフラを構築

バーティブ・ホールディングスはデータセンターや通信ネットワークなどに不可欠なデジタルインフラの構築を手掛けています。電力供給や熱管理といった基盤技術を中心に電源、冷却、IT管理などの分野で幅広い製品を提供しています。


電源・電力管理の主力製品は、無停電電源装置(UPS)、電源分配ユニット(PDU)、AC/DC電源システム、配電設備などです。冷却・熱管理システムでは、サーバーを冷却するための空冷システムや液冷システム(液浸・直接液冷など)が中核になっています。



バーティブはもともと、工場オートメーションのエマソン・エレクトリック(EMR)の事業部門でしたが、2016年に独立し、2020年にニューヨーク市場に上場しています。独立後は積極的に企業合併・買収(M&A)に乗り出し、2018年に電源分配ユニット(PDU)の「Geist(ガイスト)」や空調設備の「Energy Labs(エナジー・ラブズ)」を買収。2025年には熱管理の「PurgeRite(パージライト)」を傘下に収めています。


バーティブはM&Aを通じて製品のポートフォリオの多角化を図っています。現在の主力は電力管理(UPSや直流電源)、熱管理(空冷・液冷システム)などのほかにも、ラック、モジュール型データセンター、エネルギー貯蔵、IT管理ソフトウェアなど製品は多岐にわたります。


事業部門ごとの業績は発表していませんが、エンドユーザーごとに市場は大きく三つに分かれています。最初に挙げられるのがデータセンターです。顧客基盤ごとに四つに細分化され、AI開発やクラウドサービスを手掛けるハイパースケーラーではマイクロソフト(MSFT)やアマゾン・ドットコム(AMZN)、アルファベット(GOOGL)などが主要顧客です。データセンターのスペースを貸し出すコロケーション事業者では不動産投資信託(REIT)などにソリューションを提供しています。



さらにAIワークロードに特化したネオクラウド事業者ではコアウィーブ(CRWV)やネビウス・グループ(NBIS)が主要顧客です。このほかオンプレミス型のデータセンターを持つ企業では大手金融機関などに製品・サービスを提供しています。


第二に挙げられるのが通信ネットワーク分野です。有線・無線通信事業者が音声・動画・データを配信するためのインフラを支えています。第三に商業・産業分野であり、製造業、輸送、エネルギーなどの現場で重要設備の安定稼働を支援しています。



シエナ、通信関連製品とソフトを総合的に提供

シエナは通信事業者やクラウド事業者向けにハードウエア、ソフトウエア、サービスを総合的に提供しています。中核製品は、高速伝送を実現する光通信装置やモジュールなどの光ネットワーク機器に加え、トラフィックの制御・集約・転送の機能を持つルーターやスイッチ機器などです。


こうした製品で構成するネットワーキングプラットフォーム部門が主力事業となります。2025年10月期決算ではこの部門の売上高が前年比21%増の36億7600万ドル、利益が30%増の7億7400万ドルです。主力製品は大容量光伝送プラットフォームや光インターコネクト装置、小型トランシーバーなどです。



このほかネットワークの制御や運用の効率化を支援するソフトウエアを提供するプラットフォーム・ソフトウエア&サービス部門、ネットワーク運用の自動化と統合的な管理プラットフォームを提供するブループラネット・オートメーション・ソフトウエア&サービス部門があり、ネットワークの運用管理やサービス提供のライフサイクルを高度に自動化することが可能です。


さらにグローバルサービス部門では、ネットワークの設計、導入、運用、保守までを包括的に支援します。コンサルティングで顧客の要望を聞き、システム導入と統合、運用支援などのサービスを提供しています。

中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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