今回解説していく通貨はユーロドル(eur/usd)です。2022年からの上昇トレンドが継続中ですが、現状はトレンド内の調整リスクも浮上。特に1.1400ドル付近を下抜けると調整が深くなる可能性もありそうです。
ファンダメンタルズ面では、欧州中央銀行(ECB)が中東情勢からのインフレリスクによって、金融政策方針を変更せざるを得ない状況へと追い詰められています。
今後のユーロドルの相場焦点:市場では6月利上げを見込む
まずはユーロ圏の現在の金融政策状況を確認していきます。
欧州中央銀行(ECB)は2022年7月に金融引き締めを開始。2023年9月に政策金利を4.50%まで引き上げて、2024年6月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は2.15%です。
●ECBが金利の据え置きを決めた4月の直近理事会での声明文では
・インフレの上振れリスクと経済成長の下振れリスクは一段と強まっている
・戦争とエネルギー価格の高騰が長期化するほど、広範な物価や経済への影響は強まる可能性が高い
・今後の金融政策をデータ依存かつ会合ごとに決定するアプローチをとる
などの見解が示されました。
2月理事会までは「インフレ率が中期的に2%の目標で安定する見込み」などの見解を示すなど、ECBの目標に沿った推移となっていることに満足していた節がありましたが、その後に起きた米国・イランの戦争によって状況は一変。
ユーロ圏消費者物価指数(HICP)は前年比2.0%前後の安定推移から足もとで3.0%まで上昇しており、市場では「6月11日の次回理事会で利上げを実施する」との予想が優勢となっています。ラガルドECB総裁は前回の理事会後の会見で「6月会合でシナリオを再検証し、更新する」「6月に更新された新たなシナリオを公表する見込み」などと発言しており、次回の理事会では利上げの有無のほかにECBが示す新たなシナリオにも注目しておきましょう。
ユーロドルの週足分析:上昇トレンド継続も、トレンド内の調整局面入りは考慮
下図のチャートはユーロドルの週足チャートになります。

現在も2022年9月安値を起点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)が継続中。今年に入って上値を試す場面もありましたが、足もとではやや伸び悩み傾向にあるようです。
チャート下部に追加した「DMI」で確認すると、直近は+DIと-DIが交差するなど明確なトレンドは感じられず。トレンドの強さを示すADXもかなりの水準まで低下しており、チャート上の上昇トレンドを補強するような材料は少ないのが現状です。
ここからは上昇トレンド内の「調整局面入り」も考慮しておきたい局面。ただ、中長期視点ではむしろ押し目買いのチャンスと捉えることもできるでしょう。一方、上値の目標は2021年1月につけた直近高値の1.2349ドル(チャート上の青色実線)となります。
ユーロドルの日足分析:目先は1.1400ドル付近の維持が重要に
では短期的な視点で今後のユーロドルの見通しを確認していきます。下図は日足のユーロドルチャートです。

週足分析で指摘したように、現在は2022年9月安値を起点とする上昇トレンド(チャート上の黄色実線)となっています。
ただ、チャート下部の「DMI」で確認すると、現状は-DI>+DI(下落トレンド)。トレンドの強さを示すADXが低下基調にあることからそこまで気にする必要はないかもしれませんが、短期的には慎重な対応が求められるでしょう。
今後警戒しておきたいポイントは昨年後半から下値を支えてきた水準(1.1400ドル付近、チャート上の青色実線)を維持できるかどうか。同線を下抜けた際にはさらに調整が深くなる可能性も高まるでしょう。
今後の取引材料・変動要因をチェック:欧米中銀の金融政策に注目
最後に今後1カ月間の重要イベントも確認しておきます。注目は欧米の両中銀による金融政策。欧州中央銀行(ECB)は前述したように利上げの可能性が急速に高まっています。一方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は金利が据え置かれる見込み。ただ、ウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長の下で開催される初会合となるため、声明文の変化や記者会見の内容などに注目が集まるでしょう。
その他の経済指標・イベント等は以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
6月2日 ユーロ圏 5月消費者物価指数(HICP、速報値)
6月5日 米国 5月豪雇用統計
6月10日 米国 5月消費者物価指数(CPI)
6月11日 ユーロ圏 欧州中央銀行(ECB)理事会
6月16-17日 米国 米連邦公開市場委員会(FOMC)





