日銀の6月利上げ織り込みは7割超
6月15-16日に予定されている日銀の金融政策決定会合で0.25%の利上げを行うとの見方は依然として7割を超えています。ただ、中東情勢や景気下振れリスクから「7月以降に先送り」の見方も残っています。
日銀6月会合、過半数が利上げ支持か
日銀4月会合では、政策金利の据え置きが決定されたが、中川氏と高田氏、田村氏の3人の審議委員が政策金利を現行の0.75%程度から1.0%程度へ引き上げることを主張しました。6月会合ではこの3人が引き続き利上げを主張し、増氏と小枝氏が利上げ支持に回り、政策委員9名のうち、5名が利上げを支持する「5対4」の構図が成立する可能性があります。
増審議委員は5月14日に景気の下振れの兆しが表れなければ「できる限り早い段階での利上げが望ましい」と述べ、小枝審議委員は5月21日に「適切なペースで引き上げ、物価高に対応することが適切だ」と発言しています。
ただ、必ずしも6月利上げが「既定路線」とは言い難く、政策判断を見極めるうえでは6月3日の植田総裁による共同通信主催イベントでの講演が最初の試金石となりそうです。
植田日銀総裁は利上げになお慎重
植田日銀総裁は最近の発言でも、日銀が利上げを急がなくても基調的な物価上昇率はなお安定した状況にあることから、物価上昇率の過度な上振れを容認してしまうことにはならないとの見解を示しています。また、原油価格の高騰のみを受けて利上げを判断してはいけないとの考えも明らかにしました。原油価格高騰などの供給ショックに対して様子見が妥当との考えを持っているようです。
植田日銀総裁が6月会合で「利上げ見送り」の議長案を提出しても、9人の政策委員のうち5人の審議委員が利上げに賛成した場合、その見送り案への賛成は総裁、副総裁などの執行部と他の1人の審議委員にとどまり、多数決で利上げが決まり、初めて非執行部主導で利上げが決まる可能性もあります。
米財務長官と高市首相
ベッセント米財務長官は5月19日のG7財務相会議の場で植田日銀総裁と会談した後、「必要なことを行う余地が与えられれば、植田総裁は優れた金融政策を実現できると確信する」と述べ、「日本経済ファンダメンタルズは強固、過度な通貨変動は望ましくない」と、従来通り日銀に利上げを促す見解を表明しました。
一方、「追加利上げに難色」との見方が強い高市首相は円安が進む状況の中で考えを変えたかは定かではありません。高市政権は3.1兆円規模の補正予算の編成を進めており、市場はこれをインフレ悪化につながる財政拡張と捉えているかのように、国債利回りが急伸しました。金利上昇のスピードをこれ以上加速させたくないという思いも強い高市首相が日銀の利上げ姿勢を黙認するかどうかもポイントとなります。
日銀が利上げに踏み切っても、ドル円の下押しは限定か
4月の米消費者物価指数(CPI)は前年比+3.8%と2023年5月以来の強い伸びとなり、同コアCPIは+2.8%と前月から伸びが加速しました。また、4月卸売物価指数(PPI)は前年比+6.0%と2022年12月以来の高い伸びを記録し、4月のPCEデフレーターも前年比+3.8%と前月の+3.5%から伸びが加速しています。
物価上振れを受け、ウォーシュ新FRB議長は就任宣誓でインフレ抑制への強い意欲を明示し、トランプ大統領自身も「利下げ圧力はかけない」と発言しました。米利上げ観測が台頭し、日銀が6月会合で利上げに踏み切っても日米の金利差縮小期待は高まらず、ドル円の底堅い動きが続きそうです。





