NYマーケットダイジェスト・21日 FOMC受け金利上昇・ドル高・株急落

(21日終値)

ドル・円相場:1ドル=144.06円(前営業日比△0.31円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=141.79円(▲1.55円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9837ドル(▲0.0134ドル)

ダウ工業株30種平均:30183.78ドル(▲522.45ドル)

ナスダック総合株価指数:11220.19(▲204.86)

10年物米国債利回り:3.53%(▲0.03%)

WTI原油先物11月限:1バレル=82.94ドル(▲1.00ドル)

金先物12月限:1トロイオンス=1675.7ドル(△4.6ドル)


※△はプラス、▲はマイナスを表す。


(主な米経済指標)         <発表値>    <前回発表値>

MBA住宅ローン申請指数(前週比)   3.8%      ▲1.2%

8月米中古住宅販売件数

前月比                ▲0.4%     ▲5.7%・改

年率換算件数             480万件      482万件

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利

              3.00-3.25%に引き上げ  2.25-2.50%


※改は改定値、▲はマイナスを表す。


(各市場の動き)

・ユーロドルは続落。「プーチン露大統領は軍の部分動員令に署名した」と伝わると、ウクライナ情勢の一段の悪化が懸念されて、経済・地理的に影響の大きい欧州通貨に売りが先行した。

 注目の米連邦公開市場委員会(FOMC)では3会合連続となる0.75%の大幅利上げが実施され、同時に公表された政策金利見通し(ドット・チャート)は2022年末で4.4%、23年末で4.6%と前回6月時点(22年末3.4%、23年末3.8%)から大幅に引き上げられた。市場では「ドット・チャートでは予想より高いターミナルレート(利上げの最終地点)と24年まで利下げが想定されていないことが示された。想定以上にタカ派的な内容だった」との声が聞かれ、米10年債利回りが一時3.6243%前後と11年2月以来の高水準を記録。全般ドル買いが優勢となり、一時0.9814ドルと02年10月以来約20年ぶりの安値を更新した。

 なお、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が定例記者会見で「今後の利上げペースは経済データ次第」「いつか利上げペースを落とすのが適切になるだろう」などと発言すると、米10年債利回りが3.49%台まで低下。ユーロドルにも買い戻しが入り0.9910ドル付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは限定的だった。


・ドル円は3日続伸。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りが急伸し、4%を突破すると全般ドル買いが先行。FOMCが0.75%の利上げを決め、インフレ抑制に向け今後も大幅利上げを継続する方針を示すとドル買いが加速した。3時過ぎには一時144.70円まで上値を伸ばした。

 ただ、7日に付けた約24年ぶりの高値144.99円には届かなかった。パウエルFRB議長の会見を受けて米長期金利が低下に転じると、全般ドル買いの勢いが後退し、ドル円も143.41円付近まで下押しした。

 主要通貨に対するドルの値動きを示すドルインデックスは一時111.58と02年6月以来の高値を付けたあと110.61付近まで上げ幅を縮めた。


・ユーロ円は続落。欧州市場ではウクライナ情勢激化への懸念からリスク回避の売りが優勢となった。NY市場に入るとユーロドルの下落につれた売りが出て一時141.64円と日通し安値を更新した。FRBが今後も大幅利上げを継続する方針を示したことで、ダウ平均が520ドル超急落したことも相場の重しとなった。


・米国株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落し、6月17日以来約3カ月ぶりの安値となった。FRBが今日まで開いたFOMCで0.75%の利上げを決め、インフレ抑制に向け今後も大幅利上げを継続する方針を示すと、金融引き締めが米景気の悪化を招くとの見方が強まり株式への売りが膨らんだ。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅続落し、7月1日以来の安値で取引を終えた。


・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。FRBが今日まで開いたFOMCで0.75%の利上げを決め、金利見通しで一段の大幅利上げを示唆すると債券売りが優勢に。利回りは一時3.6243%前後と11年2月以来の高水準を付けた。

 ただ、パウエルFRB議長が定例記者会見で「今後の利上げペースは経済データ次第」「いつか利上げペースを落とすのが適切になるだろう」などと発言すると、債券を買い戻す動きが優勢となり、上げに転じた。米国株相場が急落したことで、安全資産とされる米国債の買いを促した面もある。

 米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時4.1168%前後と07年10月以来の高水準を付けた。


・原油先物相場は続落。ウクライナを巡り欧米と産油国ロシアの対立が深まるなか、エネルギー供給逼迫への懸念を背景に時間外では買いが先行。ただ主要国が金融引き締めを強化するなか景気減速への警戒感は根強く、一巡後は再び上値を切り下げる動きとなった。米エネルギー省(EIA)週間石油在庫統計では原油とガソリンが共に積み増しとなったことも相場の重しとされた。


・金先物相場は3日ぶりに反発。時間外から買い先行。プーチン露大統領が「軍の部分動員令」に署名したことが伝わると、ウクライナでの戦闘激化への懸念から安全資産の金に資金が向かった。もっともNY勢の参入後はFOMCを控えて米2年債利回りが上昇基調を強めたことや、為替相場でドル高が進行したことなどが重しとなって伸び悩んだ。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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