今回の決算シーズンでは、上場企業全体の業績が好調でした。プライム市場に上場する3月期決算企業956社を対象に日本経済新聞社が行った集計では、2026年4~6月期の連結純利益が前年同期比68%増加し、7割の企業が増益となったようです。
業績を押し上げた背景には、円安や価格転嫁、構造改革に加え、生成AI向けの巨額の設備投資があります。特に半導体関連では、AIサーバー向け需要の拡大を受け、半導体メーカーだけでなく、製造装置や電子部品、素材、産業機器など幅広い分野に恩恵が波及しました。AI投資が国内企業の業績を押し上げる構図が鮮明になっています。
こうしたAI投資の波は、大手半導体企業だけにとどまりません。今回の決算シーズンでは、半導体関連の中小型株でも、メモリを扱う商社やモジュール会社などで好決算が相次ぎました。
なかでもトーメンデバイス<2737.T>、シンデン・ハイテックス<3131.T>、ミナトホールディングス<6862.T>の3社はいずれも大幅な増収増益となり、業績予想や配当予想を引き上げました。株式市場もこれを好感し、決算発表後には各社の株価が上昇しています。
トーメンデバイス<2737.T>の日足チャート

3社に共通する追い風は、生成AIの普及に伴うメモリ需要の拡大です。世界の半導体メーカーがAIサーバーに使われるHBMなど高付加価値製品の生産を優先するなか、一般的なDRAMやNANDフラッシュメモリに振り向けられる生産能力が減少。これによって汎用メモリにも品不足と価格上昇が波及しました。
つまり今回の決算では、AI投資による需要拡大が半導体メーカーや製造装置メーカーだけでなく、その川下に位置するメモリ商社などにも波及し、メモリ価格の上昇が業績を大きく押し上げる構図が浮かび上がりました。
一方で、こうした好調な業績をそのまま企業の恒常的な収益力とみるには注意も必要です。メモリ商社の場合、価格上昇前に仕入れた在庫を高い価格で販売することで、売上高だけでなく利益率も急速に改善しました。メモリ価格の上昇が一服すれば在庫による利益押し上げ効果が薄れる可能性があります。また、顧客による前倒し購入の反動や、今後の物量確保の不透明感もリスクとなります。
今後は、メモリ価格の上昇が続くかどうかに加え、価格上昇による在庫効果を除いても利益成長を維持できるのか、そしてAI関連の実需がどこまで持続するのかが焦点となりそうです。



