早くも予約で満室のホテルも
休止されていたGoToトラベルに代わる観光支援策として「全国旅行割」が10月11日から、いよいよ開始されることになりました。
全国旅行割は、現在各都道府県が行う「県民割」を広げるかたちで、代金割引とクーポン配布で基本4割の割引、1人1泊当たり上限1万1000円(旅行代金8000円+クーポン3000円)を支援するもの。既に予約済みの人にも割引を適用されるため、キャンセルして予約し直したりする必要はありません。期間は10月11日から12月下旬までの予定となっています。
思えば、GoToトラベルが休止されたのは2020年の年末。あれから2年近い休止を経て、ようやく再開されるということもあって、各メディアでも話題になっています。早速、予約を入れている方も多いのではないでしょうか。予約サイトなどでは、すでに満室になっているホテルや旅館なども散見されることから、みなさん待ちに待った再開だったようですね。
株式市場でも同施策は話題になっています。大和総研によれば、仮に全国旅行支援の期間が延長され、10月初めから2023年3月末まで実施される場合、追加的に発生する需要は2.0兆円程度(直接効果:1.5兆円程度、波及効果:0.4兆円程度)と試算(https://www.dir.co.jp/report/research/economics/japan/20220916_023282.html)。その場合、前回実施されたGoToトラベルを上回る経済効果が期待されるとしています。
言うまでもないことではありますが、旅行関連事業を手がける会社にとって、こうした経済効果は業績への大きな追い風となります。そのため、旅行関連銘柄について株価が急騰する場面が見られました。
エイチ・アイ・エス日足チャート
日本航空日足チャート
例えば、旅行代理店のエイチ・アイ・エスは9月上旬に2000円前後で推移していたのが、2400円台まで約20%上昇。また、近畿日本ツーリストやクラブツーリズムなどを傘下に持つKNT-CTホールディングスは、同様に1600円前後で推移していた株価が2000円台まで約25%上昇しました。
また、旅客需要増への期待からJALは2500円前後から2700円台まで約8%上昇。7月の安値2200円からは約23%の上昇となっています。そのほか、お土産を販売する寿スピリッツは7月の6000円前後から9月高値8600円まで約43%の上昇。コロナ前に付けた上場来高値8910円の更新も視野に入っています。
旅行銘柄の株価はそろそろ天井圏か
このようにGoTo再開期待から直近の旅行関連銘柄は軒並み上昇してきたわけですが、正式に発表となって以降は、全体相場が軟調なこともあって上昇に一服感が見られます。ここからさらに上昇していく銘柄もあるでしょうが、いったん目先の天井を付けた銘柄もあるでしょう。
しかし、今回再開されたのは旅行関連だけではありません。イベント需要喚起事業「イベント割」も同時に開始されます。こちらは2000円相当を上限にチケット代の2割を割り引くもので、演劇・伝統芸能、音楽ライブ、遊園地・テーマパーク、映画、スポーツ観戦・参加、美術館・博物館などのイベントが想定されています。実際には、同事業を実施することに同意が得られた都道府県内で開催されるイベントに限られるので確認が必要なケースもありそうです。
イベント割は全国旅行割ほどには事前に話題になっていたこともあって、株価も相対的に出遅れている銘柄が散見されます。そのため、今から買うのであれば、むしろイベント関連銘柄が狙い目になるかもしれません。
ぴあ日足チャート
たとえば、チケット販売を手がけるぴあは、イベント割の再開で上昇はしているものの、その上げ幅はおよそ10%にも届くかというところで、まだまだ上値余地がありそうです。同様にイベント関連銘柄としてはセレスポやエイベックスなども、これからの上昇に期待が持てそうです。
新型コロナの感染者が落ち着いてきたことや、秋の行楽シーズンを迎えることで、今後旅行やイベントにはもってこいの時期になります。需要喚起策のスタートに合わせて、観光業界やイベント業界が盛り上がってくれると良いですね。