2023年から日経レバの委託保証金率が2倍に

2023年1月10日より施行


普段から株式投資をされている方ならば「日経レバ」や「日経ダブルインバース」といった指数連動型のレバレッジETFのことはご存じかと思います。では、来年の2023年1月10日より、レバレッジETFの信用取引に係る委託保証金率が引き上げられることはご存じでしょうか。


日経レバのことを簡単に説明しておくと、正式名称「NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信」とは、指数の変動率が日経平均株価の前日比変動率の2倍となるように計算された、日経平均レバレッジ・インデックスに連動することを目指す商品です。


例えば、日経平均株が前営業日比で1%上昇した際に、その2倍となる2%上昇するということですね。一方、ダブルインバースは日経平均株価は下落した際に、指数の変動率の2倍上昇するようになっています。


日経平均などの指数に対し、その変動率のn倍の値動きとなるようレバレッジ=てこをかけていることから、レバレッジ型投資商品と呼ばれます。


このレバレッジ型商品、株式市場では大変人気のある商品で、毎日個人投資家を中心とした銘柄の売買代行を発表しているSBI証券によれば、ほぼ毎日売買代金上位となっており、トップになることも珍しくありません。そのため、今回の委託保証金率によって売買動向に変化が出る可能性もあります。


今回、なぜレバレッジETFの信用取引に係る委託保証金率が引き上げられることになったのでしょうか。これは内閣府令の改正によるもので、金融庁のホームページに掲載されている発表資料(https://www.fsa.go.jp/news/r3/shouken/20211119.html)から確認できます。


レバレッジ2倍なら保証金率も2倍に


改正の内容について説明します。通常、信用取引における委託保証金率は30%となっています。売買が活発になりすぎて取引に過熱感が出ていると判断された銘柄については、東京証券取引所や日本証券金融などが委託保証金率を引き上げる、いわゆる信用規制措置を取ることがありますが、あくまで個別の話で、かつ期間を限定したものでした。


これに対し、改正後は30%を基本とし、レバレッジ2倍のETFについては30%×2の60%。レバレッジ3倍については同様に×3の90%に引き上げられます。レバレッジ型ETFだけ規制を強化するのは納得がいかない、と思う方ももしかしたらいるかもしれませんが、本来の意味からすれば、むしろこれまでが例外で、ようやく規制が現実に追いついたと言えます。


というのも、前述したようにレバレッジ型の投資商品というのは、もとになる指数よりも値動きが大きくなる特性があります。2倍のレバレッジをかけた商品なら儲かる時も2倍ですが、負けた時の損失も2倍なのです。その商品を信用取引で扱う際に、レバレッジのかかっていない商品と保証金率が同じという方が変ですよね。リスクの高い商品ならば、それに応じた保証金率に変更することは、当然のことでもあります。


注文の扱いについて


では、委託保証金率の引き上げの前後で、実際に取引や注文にはどのような影響が出るのでしょうか。まず、現在保有しているレバレッジ型ETFあるいは今後、1月6日大引け時点までに購入し保有している信用建玉については、現行の30%が維持されます。変更はありません。


また、1月6日大引け時点で指値などで注文しつつ約定しなかった分については、すべて失効(出来ず)となります。週末と祝日を挟んだ翌営業日となる10日からは、レバレッジ型ETFの委託保証率が引き上げられます。


1月6日までに約定したものについては、それまで通り。同日までに注文済みで約定しなかったものに関しては、1月10日以降に改めて注文し直す必要があり、その際には新しい委託保証金率が適用されるということです。


委託保証金率が引き上げられたことによる影響としては、例えば手元に100万円の資金があった場合、これまでの30%では、100万円の3.3倍の金額までポジションを建てることが可能でした。これが60%では1.6倍までに制限されます。それまで可能だった半分ほどにレバレッジが制限されるため、出来高などはこれまでよりも減少するかもしれません。1月10日以降の出来高に要注目です。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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