コストの安さを優先、それとも値上がりを重視?

資産運用に興味を持ち始めた友人から、「投資信託で運用したいんだけど、インデックスファンドとかETF(上場投資信託)とか色々種類が多くて、何に投資して良いのかわからないだけど」と相談を持ちかけられました。

 

投資信託にはETFのように株式市場に上場している投資信託もありますが、一般的には公募投資信託と呼ばれる非上場投信がメインとなります。

一般の投資家が購入できる公募投資信託は6000本程度あるため、投資初心者ですと「何を選んで良いのか」判断は難しいと思います。


非上場投信の場合、投資信託の基準価額(値段)は1日1回決まる仕組みとなります。

例えば日本株式に投資する投資信託を購入した場合、当日の15時以降に基準価額が決定し、その価額が買い付け価額となります。

 

 

インデックスファンドとアクティブファンド

今回は投資信託の種類について説明します。

投資信託は大きく分類しますと、インデックスファンドとアクティブファンドに分けられます。

インデックスファンドとは、日経平均やTOPIXなど市場全体の動きを示す指数(インデックス)と連動した運用を目指す投資信託となります。


一方、アクティブファンドとは、市場平均以上の投資収益(基準価額が指数を上回る)を目指す投資信託となります。

説明を加えますと、アクティブファンドはファンドマネージャーが投資銘柄の選択や売買のタイミングを行いながら、市場平均を上回る運用成績を目指します。

基準価額が指数を上回って推移することにより、市場平均を上回る運用成果を上げる場合もありますが、基準価額が指数を下回り市場平均を下回るケースもあります。


銀行や対面の証券会社では比較的AIや5Gなどテーマ型の投資信託を顧客に勧める傾向があるため、取引されている方はアクティブファンドを保有されている方が多いのではないでしょうか。

 

信託報酬は長期の運用成績に影響与える

インデックスファンドの特徴は、アクティブファンドに比べてコストが安いことです。

投資信託の代表的なコストは、「販売手数料」「信託報酬(運用管理費用)」なります。

「販売手数料」は投資信託の購入時に販売会社(銀行や証券会社など)に支払う手数料となり、購入時に支払う手数料となります。


一方、「信託報酬」は資産の運用や管理してもらう経費として運用会社などに支払われ、運用期間中は資産から差し引かれ続けます。

アクティブファンドは市場平均を上回る運用成績を残すために、個別銘柄の調査や選択、銘柄入れ替えなどを行うことから、インデックスファンドと比べ「信託報酬」は高い傾向にあります。

 

「信託報酬」は長期の運用成績に大きな影響を与えることになります。

例えば、運用利回りが年率6%の場合、信託報酬が年率0.5%のAファンド信託報酬が年率1.5%のBファンドのパフォーマンスの違いを比較してみます。

ともに時価評価額が1万円で運用を開始した場合、10年後のAファンドの時価評価額は17081円、一方、Bファンドの時価評価額は15529円と差額は1552円となります。


また20年後のAファンドの時価評価額は29177円、一方、Bファンドの時価評価額は24117円と差額は5060円となります。

1万円での運用開始時に100万口買い付けた場合(買付価格100万円)、運用評価益は20年後に50万程度の差額が発生することになります。



同じ運用利回りにも関わらず、信託報酬の違いで運用成績に大きな差が発生しました。

投資信託を購入する際は、「信託報酬」にも注目する必要があります。


 コストの安さを重視するか、値上がりを重視するか

インデックスファンドとアクティブファンドのどちらで運用するかは、コスト面や値動きなど重視する判断基準次第となります。

コストの安さを重視するならインデックスファンド値上がりリターンを重視するならアクティブファンドに投資するのが良いと考えます。

 

インデックスファンドはコストの安さに加え、日経平均など指数に連動した運用となるため仕組みがわかりやすいことも特徴に挙げられます。

日経平均など指数の動向を確認すれば、保有商品が上昇(下落)しているか把握しやすく、投資初心者にとって適している商品と考えています。

 

一方、アクティブファンドで投資する場合、インデックスファンドに比べてコストは高くなりますが、コスト以上の好パフォーマンスを上げることができれば問題はありません。


市場平均を上回り続けるのは難しくインデックスファンドを推奨する専門家もいますが、時期によってはアクティブファンドの基準価額が指数を大幅に上回るケースもあるため、値上がりを重視したい人はアクティブファンドに投資するのも良いと思います。

ただしその際、株式投資と同様に売却のタイミングを図るのに、基準価額の推移を定期的に確認する必要があります。

 

ご自身の優先する判断基準を明確にして、インデックスファンドかアクティブファンドのどちらで運用するか選択してみてください。


日本株情報部 アナリスト

角屋 昌範

2005年に国内証券会社へ入社後、投資情報部や調査部に在籍。投資情報部では、米国や香港株式市場見通しの作成など海外金融市場に関する調査業務に携わる。調査部では、ネット関連セクターを中心に国内個別企業のアナリストレポートを執筆した。 国内証券会社などを経て2019年に入社。主に先物市場見通しなど「デリバティブコンテンツ」を担当。 CFP DCプランナー

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