食品値上げは7000品目突破見込み
2023年に入っても値上げのニュースについて聞かない日がないほどの値上げラッシュが続いています。マクドナルドでは1月16日、全体の約8割のメニューについて値上げを実施すると発表。2022年3月、9月に続き、1年に満たない期間で3度の値上げとなったことに驚いた人も少なくないでしょう。
また、東京電力は23日、半数以上の家庭が契約している「規制料金」の値上げを、国に申請しました。値上げ幅は約3割となります。実際に値上げする時期は6月からになる見通しで、審査で認められれば、規制料金は11年ぶりの値上げとなるもようです。
2022年は多くの人が値上げに苦しんだ年となりましたが、2023年はそれを上回る値上げが続きそうです。帝国データバンクは2022年12月に、「食品主要105社」価格改定動向調査―2022年動向・23年見通しを発表しました。
同資料によると、上場する主要飲食料品メーカー105社における、2022年の価格改定品目数は、最終的に2万822品目、値上げ率平均14%という結果となりました。これは大まかに言えば、原料高・原油高・円安の「トリプルパンチ」が影響したとの見方が一般的です。
足もとでは原油価格はややピークからは落ち着いてきており、為替についても、足もとでは1ドル130円前後と2022年ピークである1ドル150円という水準からは円高に振れています。であれば、2023年はこうした値上げラッシュは一巡すると思いたいところですが、前述したようにそう甘くはないようです。
2022-23年の食品値上げ(2022年12月21日時点)品目数/月別
帝国データバンク公表資料をもとにDZHFR作成
残念ながら帝国データバンクの調べでは、2023年は昨年以上の「値上げラッシュ」が見込まれています。2023年1月から4月まで値上げが決定している品目数は既に7152品目に上っており、2022年と同じ時期(1-4月:4672品目)に比べて50%超上回っています。
発表日ベースでも、7000品目に到達した時期は、2022年が4月中旬だったのに対し、2023年は昨年の12月時点で既に到達しており、値上げペースはますます加速していると言えるでしょう。
値上げ率の平均は約18%で2022年通年比で4ポイント高くなっています。最大で40%以上と大幅な価格引き上げを行う企業・食品が多く、値上げ率が大きく高止まりする原因となっているもようです。また、原料高・原油高・円安だけでなく、物流費や人件費の上昇などコスト増要因が多様化・複雑化しており、値上げが長期化する原因となっています。
これだけ値上げが続いているにも関わらず、企業では売り上げが増えてもそれ以上にコスト負担が大きく利益が減少しているという例も珍しくありません。物価動向をみると、上昇幅が前年比で9%台となっている企業物価に対し、消費者物価は4%台にとどまっています。4%というのも41年ぶりの高水準とのことですが、それでも差は大きいと言わざるを得ません。この差は価格転嫁を進められない企業がそれだけ多いということを表しているため、まだまだ値上げが落ち着くには時間がかかることでしょう。