1月は主要3指数がそろって上昇スタート
1月(27日まで)の米国市場では、ダウ平均が2.5%高、S&P500が6.0%高、ナスダック総合が11.0%高とそろって上昇しました。
総じて弱い経済指標を受けてインフレのピークアウト見通しが強まり、米連邦準備理事会(FRB)による利上げペースの減速や早期の利上げ打ち止め期待が高まったことに加え、予想を上回る決算が好感されたテスラが急伸したことで、昨年大きく下落したハイテク・グロース株を中心に買い戻しが強まりました。
上旬は、米12月雇用統計で賃金の伸びが予想以上に鈍化したことや、米12月ISM非製造業PMIが予想を下回り、好不況の分かれ目となる50を割り込んだことでFRBの引き締め姿勢が効果を発揮していると受け止められ、株高材料となりました。
中旬は、米12月消費者物価指数(CPI)が前月比で2020年6月以来のマイナスとなったことや、ミシガン大が発表した1月の期待インフレ率が3カ月連続で低下したこともインフレのピークアウト期待を高めました。
その後、米12月小売売上高が予想以上に悪化し、景気後退(リセッション)懸念が強まったことや、メスター米クリーブランド連銀総裁などのFRB高官が利上げ継続の必要性を強調したことも重しとなり下落する場面もありましたが、
下旬はウォールストリート・ジャーナル報道を受けて利上げの減速や早期停止期待が再び高まる中、決算が好感されたテスラ株の大幅高や強い米10-12月期GDP速報値を受けてリセッション懸念が後退したことが支援となり再び堅調さを取り戻しました。
12月に大きく下落した主要3指数はそろって反発し、ハイテク株主体のナスダック総合は27日まで月間で11.0%高と急伸し、昨年7月の12.4%高以来の大幅高となりました。
センチメントも大幅に改善しました。投資家の不安心理を示すシカゴのボラティリティ指数(VIX指数)は、昨年末の21.67ポイントから27日に一時17.97ポイントと昨年1月以来の水準まで低下しました。
セクター別ではS&P500の8セクターが上昇し、3セクターが下落
1月(27日まで)はS&P500の11セクターのうち8セクターが上昇し、3セクターが下落しました。
騰落率上位は、コミュニケーションが14.8%高、一般消費財が14.5%高と2桁の上昇となったほか、IT、不動産が9%超上昇し、素材も7%超上昇しました。
一方、騰落率下位は、ヘルスケア、公益、生活必需品のディフェンシブ・セクターがそろって2%超下落。資本財とエネルギー、金融は2-5%高となりましたが、S&P500(+6.0%)をアンダーパフォームしました。
上昇率トップのコミュニケーションでは、動画ストリーミング会員数が市場予想を上回ったネットフリックスが22.3%高と急伸。動画ストリーミング事業の好調見通しを背景にワーナー・ブロス・ディスカバリーが57.3%高、パラマウント・グローバルが36.7%高、ウォルト・ディズニーが26.1%高とそろって急伸しました。
上昇率2位の一般消費財では予想を上回る増収増益決算を発表したテスラが44.4%高と急伸したほか、昨年1年間で50%超下落したアマゾン・ドット・コムも21.7%高となりました。
ITでは昨年51.3%安となったエヌビディアが39.4%高、となったほか、マイクロン・テクノロジー、コルボ、クアルコムも20%超上昇と、半導体株が軒並み急伸しました。
ダウ平均採用銘柄は19銘柄が上昇、1銘柄が変わらず、10銘柄が下落
ダウ平均採用銘柄は1月月間(27日まで)で19銘柄が上昇し、1銘柄が変わらずとなり、10銘柄が下落しました。
ネットフリックスの好業績を好感しウォルト・ディズニーが26.1%高と上昇率トップとなったほか、昨年48%下落したセールスフォースも24.1%高と急反発。
リセッション懸念が和らいだことでダウ・インクやアメリカン・エキスプレスも16%超上昇し、アップル、ビザ、ボーイング、キャタピラーも2桁高となりました。
一方、昨年後半に堅調に推移したユナイテッドヘルス、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、メルク、コカ・コーラなどのディフェンシブ株が5-8%下落し、騰落率の下位に並びました。