「象印マホービン」と「FPパートナー」の配当利回りが急上昇していることをご存知ですか?インカムゲインを狙う投資家から注目を集めていますが、投資先として検討する際は、業績や株価の変化にも注意が必要です。
今回は、この2銘柄について、業績や株価、株主優待の内容についても詳しくご紹介します。
象印マホービン(7965)
象印マホービンは、炊飯器や電気ポットなどの調理家電や、空気清浄機などのリビング用品、布団乾燥機や除湿器などの生活家電などを製造・販売する家電メーカーです。家電製品以外にも、保温・保冷技術を用いたステンレスボトルや水筒、マグカップ、保温弁当箱などの商品も人気があります。
2024年度の売上高は約870億円、経常利益は約74億円でした。2025年度は売上高が約900億円、経常利益は約75億円とどちらもやや増収・増益となる予想です。2022年度以降、業績はゆるやかな右肩上がり傾向が見られます。
象印マホービンの株価
2025年10月時点の株価は約1600円です。2014年までは400円以下だった株価は、2015年に2000円を超えるまで急上昇しました。その後は現在まで約10年間に渡り、約1000円から約2000円の間で、小さな株価変動を繰り返しています。
株主優待は長期保有者対象
象印マホービンの株主優待は、毎年11月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、株式の保有数に応じて贈呈されます。贈呈される株主優待の内容は、自社商品の特別割引販売権です。
特別割引販売権とは、自社商品のうち、炊飯器や電気ケトルなど約10種類を割引価格で購入できる権利です。株式の保有数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。

配当金は増配&大幅増額
2025年度の配当金は、5月末の中間配当で30円、11月末の期末配当で34円の、年間1株当たり64円となる予想です。この金額は、特別配当24円を含む金額で、2023年度の34円、2024年度の40円から、2期連続で増配しています。
象印マホービンの配当利回り
1株1600円で100株購入した場合、投資金額は16万円になります。配当金額は年間1株当たり64円のため6400円となり、配当利回りは約4.0%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2021年度は約2.0%、2022年度は約2.3%、2023年度は約2.0%、2024年度は約2.6%でした。今年度の配当金は、特別配当が含まれており、その分利回りは大幅に上昇しています。

FPパートナー(7388)
FPパートナーは、ファイナンシャルプランニングの無料相談サイト「マネードクター」を運営する企業です。教育資金や住宅ローンなど、お金に関するライフプランを設計したり、保険商品の代理販売サービスを全国展開しています。
2024年度の売上高は約360億円、経常利益は約55億円でした。2025年度は売上高が約330億円、経常利益は約21億円と予想で、どちらも減収・減益となる見込みです。特に経常利益は大幅な減益が予想されています。
業績悪化の背景には、2024年にFPパートナーと代理販売を依頼している保険会社との取引をめぐり、金融庁が調査に乗り出したと報道されたことが挙げられます。報道により、社員の退職が相次ぎ、保険商品の新規契約件数が減少しました。
FPパートナーの株価
2025年10月時点の株価は約2100円です。2022年に上場したばかりの銘柄ですが、上場当初の約1600円から約2年後には約7500円の高値を付けました。しかし、保険会社との取引をめぐる報道以降株価は急落し、2025年には2000円を下回っています。
株主優待は長期保有者対象
FPパートナーの株主優待は、毎年5月末と11月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、3000円分のクオカードが一律で贈呈されます。5月末の権利確定日にもらえるクオカードは8月中に、11月末の権利確定日にもらえるクオカードは翌年2月中に発送されます。

配当金は増配継続中
2025年度の配当金は、5月末の中間配当で47円、11月末の期末配当で47円の、年間1株当たり94円となる予想です。この金額は、2022年度の無配当、2023年度の90円、2024年度の92円から、3期連続で増配しています。
FPパートナーの配当利回り
1株2100円で100株購入した場合、投資金額は21万円になります。配当金額は年間1株当たり94円のため9400円となり、配当利回りは約4.5%です。
なお、各年度の平均株価から算出した配当利回りの実績は、2022年度は0%、2023年度は約2.6%、2024年度は約2.1%でした。業績悪化と株価低迷は続いていますが、配当性向約45%と累進配当、株主優待制度は継続する方針です。

まとめ
象印マホービンは、安定した業績に支えられて生活家電メーカーらしい堅実さがありますが、配当金は今期限りの特別配当が含まれており、今後の配当利回りは再び低下する可能性があります。
一方、FPパートナーは、高配当と株主優待の両面で株主還元を継続する姿勢を示していますが、業績悪化による株価低迷が続いており、今後の業績には注意が必要です。
ローリスク・ローリターンの象印マホービンと、ハイリスク・ハイリターンのFPパートナーは、それぞれ特徴とリスクの性質が大きく異なります。どのような投資を行いたいかによって、慎重に投資先を検討してみてはいかがでしょうか?


