米古着市場、2023年の440億ドルから2027年に700億ドルへ?
「ある人にとってのゴミは、別の人の宝」といえば、日本語でいう「捨てる神あれば拾う神あり」のことわざの英語版の直訳です。この言葉通り、日本ではフリマアプリ大手メルカリで商品を売買する人々が増え、2022年10月には月間ユーザー数が2,075万人を突破。同社によれば、「資源高騰と円安による物価上昇の影響もあり、家計の負担を減らすべく、節約意識の増加に加え、購入するものを厳選するといった消費者の動き」がみられたといいます。
太平洋の向こう側、米国でも中古品が人気を博しています。基軸通貨ドルを抱える米国ですが、2021年春から続く高インフレに加え、米連邦準備制度理事会(FRB)による積極的な利上げを受けた金利上昇のダブルパンチに見舞われたためです。
しかも、人気商品はルイ・ヴィトンやグッチ、シャネルなど高額ブランド品に限りません。なんと、日本でもおなじみのリーバイスを始めJ・クルー、ザラ、アバクロンビー・アンド・フィッチ、アーバン・アウトフィッターズ、フリー・ピープルなど、比較的手ごろなブランドの古着にまで広がっているのですよ。
米国で古着、英語でいう“Re-worn”市場は、破竹の勢いで拡大中です。調査会社グローバルデータによれば、売上高は2023年の440億ドルから、2027年に700億ドルへ拡大する見通しだというではありませんか。また、消費者の75%が古着を購入する意欲がある、あるいは購入済みと回答しており、普及が広がる地合いにあると言えそうです。
画像:リサイクルのオンライン大手thredUPでは、手ごろなブランド商品が並ぶ
(出所:thredUP)
米古着市場、牽引役はジェネレーションZ世代
世代別でみれば、ジェネレーションZ世代(1997~2012年生まれ)が牽引しており、古着を購入する意欲がある、あるいは購入済みとの回答は83%と最も高いんですよね。日本でもコスパやタイパを重視すると言われますが、米国でもそこは変わらないようです。また、ブランド自体も若い世代を中心としたニーズを汲み取り始め、グローバルデータによれば、2022年に再販部門を立ち上げたブランドは88を数え、2021年から3.4倍に増えたといいます。
米経済の正常化は日本と比較して早く、2022年春から全米50州で屋内施設でのマスク着用義務が撤廃されました。米労働統計局は、米雇用統計から「コロナによってリモートワークを行っている」との質問を同年10月分から削除。最後に公表された9月分で5.2%まで低下したように、職場に復帰する米国人が増えると共に、衣類を始め日常生活を送る上で必要な品々を購入する必要に迫られたことは想像に難くありません。
高インフレはエネルギーと食品だけでなく、服飾にまで広がっていたとも古着市場の拡大につながったことでしょう。2021年4月からの24カ月間の前年同月比の平均は4.6%と、コロナ前の2017~19年の平均0.5%の下落に対し加速していました。若い世代を中心に、職場だけでなく、野球場や映画館、旅行に出かける上でソーシャルネットワークへの投稿で“インスタ映え”を狙う必要もあって、衣類購入の予算を切り詰める必要があったに違いありません。