【オシレータ分析の使い方①】

オシレータ分析を理解する前に

さて、オシレータ分析といっても、言葉自体が難しい印象を与えてしましますが、オシレータ分析を理解する前に、まずは順張り投資と逆張り投資を理解した方がよいでしょう。


順張り投資の考え方

トレンドの方向に沿う投資手法を「順張り」投資といいます。


順張り投資は、上昇局面ではできるだけ初期の価格が低い時に買い、価格が上がった時に売って利益獲得を目指します。下落局面では初期のできるだけ価格が高い時に空売りして、価格が下がった時に買い戻して利益獲得を目指します。


当然、投資したあとも同じ方向にトレンドが続くことを前提にしているので、価格変化が大きいほど利益が大きくなり、投資した後にすぐに逆方向に反転してしまう場合は利益が薄く、最悪の場合は利益確定のチャンスを逃し、損失になる場合もあります。


逆張り投資の考え方

「逆張り」投資は、トレンドが反転することを前提として、今のトレンドと反対方向に投資をする手法です。


上昇相場や下落相場ではずっと上昇や下落が続くわけではなく、途中で上がったり、下がったりする数日間や数週間の踊り場(もみ合い)を形成します。その踊り場(もみ合い)局面で有用なのが「逆張り」投資で、そこで活躍するのがオシレータ分析なのです。


つまり、オシレータ分析はトレンドとトレンドの間に生じるもみ合い相場の中で、逆張り投資のタイミングを判断する分析指標と理解してください。まずはそこが基本です。


オシレータ分析とは?

オシレータ分析は、マーケットの勢いや過熱感を数値化し、適切な売買タイミングを探るための指標です。オシレータに「振り子」の意味があるように、一定の値の中心値(中心線)から、上下に往復するように作られています。


オシレータ指標には、RSI(相対力指数)、ストキャスティクス(図表)のように上限値と下限値があって一定範囲内で往復するものと、MACDや移動平均乖離率のように上限値や下限値を持たずに往復運動をするものがあります。狭義では前者を総称してオシレータ指標と呼びます。



オシレータ指標は50%を中心にして、0~100%などの決まった範囲を上限・下限として往復するように動きます。オシレータ指標は中心に回帰することを前提とした考え方といえます。


例えば、100%の上限ゾーンに近くなると買われ過ぎで反落が近いと判断し、逆張り売りの目安とします。一方、下限ゾーンに近くなると売られ過ぎで反発が近いと判断し、逆張り買いの目安とします。


留意点

オシレータ分析はトレンドとトレンドの間に生じる数日間や数週間のもみ合い相場で有用な逆張り指標ですが、もしトレンドが発生すると逆張り指標としては使えません。


もみ合い相場から上昇トレンドが発生した場合、オシレータは買われ過ぎの領域で推移し続ける「ダマシ」が生じます。もみ合い相場から下落トレンドが発生した場合でも、オシレータは売られ過ぎの領域で推移し続ける「ダマシ」があるからです。


日本株情報部 チーフストラテジスト

東野 幸利

証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。 マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。世界主要指数や個別株を対象にテクニカル・ストラテジーの提案。 日経CNBC「夜エクスプレス」、日経チャンネル「マーケッツのツボ」、テレビ東京「モーニングサテライト」、ラジオ日経(金曜後場マーケットプレス)など 会社四季報プロ500、ダイヤモンド・ザイ、日経マネー、株主手帳など 金融機関向けコラム「相場一点喜怒哀楽」 IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA) 日本テクニカルアナリスト協会理事 CFP、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務) DCアドバイザー(確定拠出型年金教育・普及協会)

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