NYマーケットダイジェスト・30日 インフレ指標鈍化で株高・ドル安

(30日終値)

ドル・円相場:1ドル=144.31円(前営業日比▲0.45円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=157.44円(△0.16円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0909ドル(△0.0044ドル)

ダウ工業株30種平均:34407.60ドル(△285.18ドル)

ナスダック総合株価指数:13787.92(△196.59)

10年物米国債利回り:3.84%(横ばい)

WTI原油先物8月限:1バレル=70.64ドル(△0.78ドル)

金先物8月限:1トロイオンス=1929.4ドル(△11.5ドル)


※△はプラス、▲はマイナスを表す。


(主な米経済指標)        <発表値>    <前回発表値>

5月米個人所得(前月比)       0.4%      0.3%・改

5月米個人消費支出(PCE、前月比)  0.1%      0.6%・改

PCEデフレーター(前年比)     3.8%      4.3%・改

PCEコアデフレーター(前月比)   0.3%       0.4%

PCEコアデフレーター(前年比)   4.6%       4.7%

6月米シカゴ購買部協会景気指数    41.5        40.4

6月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、確報値)

                   64.4        63.9


※改は改定値、▲はマイナスを表す。


(各市場の動き)

・ドル円は4日ぶりに反落。東京市場では一時145.07円と昨年11月10日以来の高値を付けたものの、海外市場では政府・日銀による為替介入への警戒が高まる中、週末を控えたポジション調整目的の売りが優勢となった。

 米商務省が発表した5月米個人消費支出(PCE)価格指数(デフレーター)で変動が激しい食品とエネルギーを除くコアデフレーターが前年比4.6%上昇と予想の4.7%を下回ったことが分かると、米長期金利の低下とともにドル売りが活発化。23時30分過ぎに一時144.21円と日通し安値を更新した。前日の安値144.14円が目先サポートとして働くと144.63円付近まで下げ渋る場面もあったが、戻りは鈍かった。


・ユーロドルは3日ぶりに反発。米インフレ指標の鈍化を受けて全般ドル売りが優勢になると、一時1.0932ドルと日通し高値を更新した。欧米株価の上昇を背景にリスク・オンのドル売りも出た。

 なお、欧州時間に発表された6月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は予想を下回ったものの、相場の反応は限られた。


・ユーロ円は3日ぶりに小反発。ダウ平均が一時340ドル超上昇するなど、米国株相場が堅調に推移すると投資家のリスク志向が改善し、円売り・ユーロ買いが優勢となった。0時30分前に一時157.88円と日通し高値を更新した。


・代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは下落。対ドルでは一時2万9520ドル前後まで下落したほか、対円では427万円台まで売られた。米証券取引委員会(SEC)が「現物(スポット)のビットコイン上場投資信託(ETF)の申請は不十分」との見解を示したと伝わると、仮想通貨全般に売りが出た。


・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸。5月米PCEデフレーターが鈍化したことで、米インフレ懸念が後退。米長期金利が低下し、ハイテク株を中心に買いが集まった。スマートフォンのアップルは時価総額が1年半ぶりに3兆ドルを超えた。市場では「急激な利上げにもかかわらず、米経済は底堅く、投資家のリスク投資意欲は根強い」との声が聞かれた。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発した。


・米国債券相場で長期ゾーンは横ばい。5月米PCEデフレーターが鈍化したことを受けて米インフレ懸念が和らぐと、米連邦準備理事会(FRB)による利上げの長期化観測が後退。債券を買う動きが先行した。ただ、米国株相場が堅調に推移すると引けにかけて売りが強まり値を消した。


・原油先物相場は3日続伸。米インフレ鈍化に伴って米景気減速懸念が後退し、需要期待を意識した買いが強まった。


・金先物相場は4日ぶりに反発。米インフレの鈍化を受けて全般ドル売りが進んだ影響からドル建てで取引される金に割安感が生じ、買いが優勢となった。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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