ラグビー・ワールドカップフランス大会が9月8日に開幕し、日本代表は初戦のチリを42―12で下して、白星発進しました。
「ワンチーム」をスローガンに、ベスト8進出という快挙を達成した前回の日本開催大会から4年、再び日本代表の活躍を目にすることができ、喜びと期待に胸を膨らませている方も少なくないのではないでしょうか。
こうした世界的なスポーツイベントのたびに、「経済効果は〇〇億円になりました」というようなニュースを耳にすることがあると思います。前回のラグビーワールドカップ日本大会では、その経済効果が大会史上最高の6464億円に達したもようです。
この数値は大会組織委員会から分析を委託された国際会計事務所のアーンスト・アンド・ヤングが、開催翌年の2020年6月24日に発表した「開催後経済効果分析レポート」によるものです。
2015年イングランド大会の23億ポンド(約3100億円)が従来の最高額でしたが、日本大会では、その2倍に膨らんだということで、今回のフランス大会では、どのぐらいの経済効果になるのか、試合の結果とともに気になるところですね。
さて、この経済効果ですが、何千億円という数字を見ると、すごいなと思わされるところですが、実際にはどういう数字をもとに算出されたものなのでしょうか。今回はスポーツイベントによる経済効果とその中身について、少し詳しく見ていきたいと思います。
まず、経済効果についてですが、よく言われるこの数字はたいていの場合、「直接効果」と「間接効果」を合わせたものになっています。間接効果は「波及効果」などともいわれたりします。
前回のラグビーワールドカップ日本大会の例で言えば、直接効果は3157億円、第一次間接効果は2172億円、第二次間接効果は1135億円と算出されました。この直接効果とは、例えば、入場チケットや、会場での飲食代、遠方から場合はその交通費や宿泊費、グッズ代など、直接関連した消費の増加分を指します。
間接効果については、どの範囲までを含むかはその時の定義によって変わる面もありますが、飲食を例にした場合、直接お店で支払った金額を直接効果とすると、第一次間接効果とは、そのお店に食材などを納入する卸売店や生産者などへの影響を指します。
また、第二次間接効果とは、飲食店やその納入業者などが好調で臨時ボーナスが出た場合に、その従業員がボーナスで買い物やレジャーに出かけるなどといった消費活動を行った場合の経済への影響を指します。
より具体的な例を挙げると、直接効果では大会により4万6000人の雇用創出があったことに加え、スタジアムの建設などが生産の増加に寄与しました。また、同大会によるインバウンド数は24万2000人で、平均滞在日数は17日にも及びました。ラグビーは激しいスポーツですから、試合をした後、次の試合があるまでの間隔は長めです。そのため、ひいきのチームを応援するには滞在日数も伸びる傾向があるようです。
こうして見ると、単純なイベントによる消費の上振れだけでなく、経済活動の盛り上がりによる新たな雇用や給与増といった幅広い範囲への影響を指しているものだということがおわかりいただけると思います。
ラグビー・ワールドカップフランス大会は海外で開催される大会ですので、日本の経済に及ぼす影響は、前回大会よりかなり限定的になるはずですが、それでも例えば、ラグビー関連商品の売り上げや、試合中継を見ながら飲食するなどの消費活動を盛り上げることになりそうです。
日本代表がどこまで勝ち進めるか応援にも熱が入りますし、まだまだアツい日が続きそうですね。