金融商品や投資に関するトラブル相談について、以前の記事「投資や暗号資産の相談、投資詐欺などが増えています」「こんな手口は怪しい! 投資詐欺などの相談事例」でご紹介してきました。
本記事では、暗号資産(仮想通貨)に関する投資詐欺から身を守るためのポイントをお伝えしましょう。
SNSやマッチングアプリ、知人・友人からの誘いもトラブルに
金融庁「金融サービス利用者相談室」や全国の消費生活センター等・国民生活センターなどに寄せられる暗号資産のトラブル相談では、きっかけとして「SNSやマッチングアプリで知り合った人」または「友人・知人」に誘われたというパターンが多いようです。トラブルの内容は、「投資資金で本当に投資が行なわれているか実態がつかめない」「利益や投資資金を返してもらえない」などとなっています。
「SNSやマッチングアプリで知り合った人」の多くは、自分が大儲けをしたという誘い文句で近寄ってきます。また、著名人の名を語ったり、金融庁や財務局の者だと名乗ったりするケースも見受けられます。相手の本人確認をせずに本名かどうかも分からず、リアルに面会することもなくオンラインでやり取りをしていると、突然、相手と音信不通になっても対処のしようがありません。
「友人・知人」から誘われたケースでは、誰かを紹介するとその友人や知人にお金が入るシステムになっているのが常套手段。セミナーや第三者の話を聞くようにセッティングされ、儲け話を持ち掛けられるという流れです。
これらのケースでは、相手に指定された個人名義の銀行口座に投資資金を振り込んだり、個人宛てに暗号資産で送付するよう指示されたりする場合が多いようです。
登録を受けた事業者でなければ、暗号資産を取り扱えない
覚えておきましょう。暗号資産は、金融庁・財務局に登録された「暗号資産交換業者」でなければ取扱いができません。「暗号資産交換業者」とは、暗号資産と法定通貨(日本円や米ドルなど)の交換や、暗号資産同士の交換サービスを提供する事業者、暗号資産の管理を行う事業者などです。
金融庁・財務局の登録を受けた事業者は、「暗号資産交換業登録番号 関東(近畿なども)財務局長 第00XXX号」という登録番号が与えられています。また、金融庁のWEBサイトで登録事業者の一覧が確認できます。
●暗号資産交換業者登録一覧
https://www.fsa.go.jp/menkyo/menkyoj/kasoutuka.pdf
さらに、無登録で暗号資産交換業を行った者の名称等も、金融庁により公表されています。
●無登録で暗号資産交換業を行う者の名称等
(国内) https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/kasoutsuka_mutouroku_j.pdf
(海外) https://www.fsa.go.jp/policy/virtual_currency/kasoutsuka_mutouroku.pdf
なお、暗号資産交換業者としての登録を受けるためには、株式会社であることや資本金が1000万円以上あることなど、一定の要件を満たさなければなりません。
暗号資産交換業者の義務
暗号資産交換業者は、4つの重要な義務を負っています。前述した金融庁・財務局への登録は、その義務のうちの1つです。これらは、度重なる事業者の不祥事や犯罪などから投資家を守るために「改正資金決済法」で定められました【表】。
投資家自身も注意が必要
暗号資産交換業者が負う4つの義務のうち、「情報提供」については、投資家自身の自覚も大切です。いくら適切な情報が提供されたとしても、投資家が説明をしっかり受け止めなければトラブルに発展することもあるでしょう。投資家として高い意識を持ち、正しい理解をした上で利用しなければなりません。
出会い系サイトやマッチングアプリなどのように、知らない人からの誘いに乗らない強い意志を持ちましょう。「絶対に儲かる」「あなただけ特別」などの甘い言葉には注意が必要です。絶対に儲かる話など世の中にありません。そもそも、あなたは特別な存在でしょうか?
それでもうっかり被害に遭ってしまったら、一人で悩まずに相談をすることです。
<困ったときの相談窓口>
《金融サービスに関するご相談》
●金融庁 金融サービス利用者相談室 0570-016811 平日 10:00-17:00
※IP 電話・PHS からは、03-5251-6811 におかけください。
《不審な電話などを受けたら》
●消費者ホットライン 局番なしの188(いやや!)
※原則、最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口などをご案内します。 相談できる時間帯は、相談窓口により異なります。
●警察相談専用電話 #9110 又は最寄りの警察署まで
※#9110は、原則、平日の 8:30-17:15
(※各都道府県警察本部で異なります。土日祝日・時間外は、24時間受付体制の一部の県警を除き、当直又は音声案内で対応)
参考記事:「投資や暗号資産の相談、投資詐欺などが増えています」