「夏枯れ相場」はなぜ起こる?4つの対策を紹介

7月から9月にかけて、お盆休みで市場への参加者が減少することにより株価が下がってしまう「夏枯れ相場」が起こりやすいと言われています。


取引量が減少すると、ちょっとした懸念材料で株価が下落してしまう変動リスクが上昇する可能性があります。夏場にトレードをしたい方は、夏枯れ相場の特徴と対策を知っておくことが重要です。


今回は、夏枯れ相場が起こる理由や4つの対策などを解説していきます。


「夏枯れ相場」とは

夏になるとお盆休みで市場に参加する人が減り、それに伴い売買量が減少し株価が下落する「夏枯れ相場」と呼ばれる減少が起こることがあります。

株式市場では、「セル・イン・メイ」などのアノマリー(経験則)が存在しますが夏枯れ相場もアノマリーや相場格言の1つです。


東京証券取引所プライム市場における、2022年4月以降の月間売買高の推移を見ていきましょう。


 

出典:日本取引所グループ「その他統計資料」

※青部分が7月~9月


2022年は7~9月にかけて売買高か減少傾向にありますが、2023年は1月、2月、4月も売買高が減りました。

6月には回復し、7~9月はやや減少しています。


日本では3月決算の企業が多く、取引が活発になる傾向にあります。4~5月にかけて決算短信が発表され上半期の見通しが明らかになり、6月に第一四半期が終了しますので7~9月は相場が落ち着く時期と言えるでしょう。


そして日本市場の売買高の6~7割は海外投資家が占めていると言われており、海外投資家が夏季休暇を取ると市場の取引量が減ってしまうのです。

取引量が減ることで、普段では影響が少ないことでも市場が過敏に反応し株価の変動幅が大きくなってしまう恐れがあります。


「夏枯れ相場」を乗り切るために、個人投資家はどのような投資をすべきなのでしょうか?



夏枯れ相場の対策4つ


日頃からリスク分散を心がける

サマーストック(猛暑関連銘柄)の取引を検討する

欲しい株の動向を定期的にチェックする

積み立て投資を継続する


1.日頃からリスク分散を心がける

上記のように、夏期の市場は取引量が少なくなることで通常より株価の変動リスクが高くなってしまう可能性があります。

普段から地域や金融商品などを分散し、リスク軽減を心がけましょう。


2.サマーストック(猛暑関連銘柄)の取引を検討する

夏場は取引量が減る一方で、「サマーストック」(猛暑関連銘柄)と言われる猛暑日が続くと売上が伸びる銘柄が存在します。

例えば以下に関連する銘柄は「猛暑関連銘柄」と呼ばれています。


ビール関連ではサッポロホールディングスやキリンホールディングス、アイス関連銘柄には森永乳業やB-R サーティワン アイスクリーム株式会社などが挙げられます。

エアコンは家電メーカーや家電量販店、日焼け止め・制汗スプレーなどは花王・ライオンなど生活消費財メーカーに加え、ドラッグストアにも影響を及ぼすでしょう。


ただし気温に左右されやすいと言われていますので、リスクの高い投資になる傾向があります。


「高リスクでも良いから夏に利益を得たい」という方は、猛暑関連銘柄の取引を検討してみましょう。


※上記は「関連銘柄」の紹介であり、購入を推奨するものではありません。


3.欲しい株の動向を定期的にチェックする

夏枯れ相場で株価が下がると、欲しい株を割安に購入できるチャンスが訪れるかもしれません。

購入希望の銘柄を定期的にチェックし、場合によっては指値で注文しておくと良いでしょう。


4.積立投資を継続する

低リスクの運用を希望する方は、コツコツと積立投資を継続しましょう。

夏場に株価や投資信託の価額などが下がると、普段より多めの量を購入できますので「仕込みのチャンス」とも言えるでしょう。

ただし長期にわたって下がる可能性がありますので、無理のない金額での投資をおすすめします。


まとめ

市場参加者、特に海外投資家がお盆休みに入ることで取引量が減少し株価などが下がる「夏枯れ相場」は、欲しい株を割安で購入できるチャンスとも言えます。

上記4つの対策を参考に、夏枯れ相場を乗り切っていきましょう。


ファイナンシャル・プランナー/ライター

田中 あさみ

大学在学中に2級FP技能士の資格を取得。会社員を経て独立し、金融・投資・相続・法律などの記事を執筆している。 自身でも米国株やETF・投資信託等を運用中。

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