2024年7月26日から8月11日まで、フランスの首都パリでオリンピックが開催されています。
パリオリンピックでは日本人選手が活躍する一方で開会式の演出を巡り大会組織委員会が謝罪、水質の問題が指摘されているセーヌ川で泳いだトライアスロンの選手がレース後嘔吐するなどネガティブな話題も存在します。
「先進国株式に投資しているけど大丈夫なのか」「フランスの国際的なポジションはどうなるのか」と不安を抱く方もいらっしゃるでしょう。
今回はパリオリンピックで起きたトラブルやフランスの経済事情、オリンピックの経済効果について解説していきます。
パリオリンピックでは開会式とセーヌ川の水質汚染が問題に
パリ2024オリンピックは7月26日に開会式が開催されましたが、韓国が「北朝鮮」と紹介され国際オリンピック委員会(IOC)は後日韓国に正式に謝罪しました。
加えて開会式ではマリー・アントワネットと思われる女性が、フランス革命の後に投獄された牢獄に、切断された自身の頭を抱えて登場するという奇抜な演出がありました。
そしてイエス・キリストと使徒達との最後の食事の場面を描いたレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画「最後の晩餐(ばんさん)」を連想させる演出があったことから、一部のカトリック系団体やフランス国内のキリスト教会司教などから「キリスト教を嘲笑する場面」があったという批判が噴出しました。
大会組織委員会の広報担当者は、記者団に対して「いかなる宗教団体に対しても敬意を欠く意図は決してなかった」「不快になった方がいたとしたら当然、本当に申し訳なく思う」と謝罪しています。
さらに開会式で芸術監督を務めた男性は、8月2日に「オンライン上で殺害予告の脅迫を受けた」と訴えて当局が捜査に乗り出しました。
セーヌ川の水質汚染でトライアスロン選手が体調不良に
トライアスロンのスイム会場となっているセーヌ川は、以前から水質汚染が問題視されていましたが、7月31日に男女の個人戦を終えたカナダの選手がレース後に「計10回、吐いた」という事件が起こりました。
8月5日には、トライアスロン女子に出場しセーヌ川で泳いだベルギーの選手が大腸菌感染症と見られる症状があり入院し、混合リレーを棄権しました。
上記のようなトラブルでネガティブな印象を受け、経済への影響を心配する方もいらっしゃるでしょう。
例えば、人気ファンドの1つである「eMAXIS Slim先進国株式インデックスファンド」は日本を除く海外先進国22ヵ国の株式指数「MSCIコクサイ・インデックス」をベンチマークとして運用しており、フランスも含まれています。
フランスの経済事情とオリンピックの経済効果
フランスは「世界各国・地域への外国人訪問者数」(出典:一般社団法人 日本旅行業協会)で第一位の観光大国で、2022年世界のGDP(国内総生産)ランキング第7位です。経済大国としてG7にも参加しています。
日本との関係は良好で、マクロン大統領は2023年5月のG7広島サミットに参加するため訪日し岸田総理との首脳会談を実施しました。
そしてフランスは、経済活性化のために海外企業の投資誘致に積極的という特徴があります。
2024年5月13日にマクロン大統領はフランスへの投資誘致を目的とした会合「チューズ・フランス(Choose France)」を開催し(7回目)、海外企業の経営者をベルサイユ宮殿に招きました。
同会合にはアメリカのIT大手マイクロソフト社のブラッド・スミス副会長兼社長など180人の海外企業の経営者が参加し、マイクロソフト社は、40億ユーロを投資すると発表しました。
合計56件の投資プロジェクトが発表され、投資額の合計は150億ユーロと過去最大です。
日本企業では、KDDIグループ子会社のテレハウスが10億ユーロを投資しイル・ド・フランス地域圏など3カ所にデータセンターを開設する予定です。
パリオリンピックの経済効果は?
パリオリンピック・パラリンピック組織委員会は、大会開催に伴う経済波及効果を「67億700万ユーロ(約1兆1,300億円)~111億4,500万ユーロ(約1兆8,800億円)」を見込んでいます。
一方で、2024 年7月9日にフランス国立統計経済研究所(INSEE)は、パリオリンピックの経済効果でフランスは第3四半期の経済成長率が押し上げられるものの、2024年の成長率は1.1%で前年と同程度に留まると発表しました。
開会式の演出やトライアスロン選手の体調不良など、トラブルが起きたパリオリンピックは8月11日まで開催されます。
今回のオリンピックの経済効果に加え、今後のフランスの経済についても動向を見守っていきましょう。