2024年は、新しいNISA(少額投資非課税制度)を機に、人々の関心が投資信託の積立投資に向かいました。夏には金融市場が大きく荒れましたが、日本で販売されている公募投資信託市場には、2024年10月まで月間ベースで11カ月連続の純資金流入となっています。
国内の公募投信の残高は238兆円強、過去最高額を更新
一般社団法人 投資信託協会では、毎月、投資信託の残高や資金の流出入などのさまざまなデータを集計し、公表しています。2024年10月末時点の「統計データ」や「投資信託概況」によると、日本で販売されている公募投信の純資産総額は、238兆6,369億円。2カ月連続で残高が増加し、4ヵ月ぶりに過去最高額を更新しました。
このうち、株式投信の純資産総額は223兆5,349億円で、こちらも過去最高の残高。うち、ETF(上場投資信託)の純資産総額は87兆7,916兆円で、これまでの最高額は2024年6月の89兆6,119億円です。公社債投信の純資産総額は15兆1,019億円でした。
国内で販売されている公募株式投信(ETFを含む)の投資対象地域は、残高ベースで約半分が国内、約4分の1が海外、約4分の1が国内と海外のミックス(内外)となっています。つまり、投資対象地域が国内のみの投信と、海外を含む投信(投資対象が海外+内外の合計)とでおおよそ半々です【グラフ1】。
最近の外国株式ブームが念頭にあると、国内に投資する投信の残高が約半分というのは、意外だと感じるかもしれませんね。
実は、10年前と比べてみると、国内への投資割合は、現在の方が増加しています。2015年10月末時点で、公募株式投信の純資産総額は約82兆円。その残高内訳は、国内が約32兆円で海外が約31兆円、内外が約19兆円でした。当時の国内投信は公募株式投信全体の約39%、現在は約48%となっています。
公募株式投信の残高全体のうち、6割がインデックス型投信
公募株式投信のうち、インデックス型投信の純資産総額は134兆7,536億円で、株式投信の純資産の約6割を占めています。【グラフ2】は、毎年10月末時点の公募株式投信の純資産総額と、インデックス型・アクティブ型の割合の推移です(ETFを含むベース)。
10年前、インデックス型投信の割合は、約3割でした。その後増加の一途をたどり、2024年2月末に6割に達し、現在に至ります。
ただしETFを除くと、純資産総額は135兆7,433億円、インデックス型投信の割合は47.0%に下がります。
次は視点を変えて、投信の本数を見てみましょう。2024年10月末時点で、国内で販売されている公募株式投信の本数は5,714本。そのうちインデックス型投信は1,318本で、全体の23%です。これらが残高の6割を占めているというわけです。
さらに、インデックス型投信の本数は過去1年間で79本の増加。これらのことから、インデックス型投信への高い関心が伺えます。
10月までの2024年純資金流入額が、2023年1年間の2倍超に
最後は、投信の設定額から解約金額や償還金額を差し引いた「資金フロー」についてです。
10月の公募株式投信は、8,871億円の純流入となりました。2024年1~10月の累計では、15兆6,387億円の純流入。ETFを除くベースでは、10月が7,269億円の純流入で、1~10月累計が13兆4,530億円の純流入です。
年間ベースでは、公募投信全体で2004年から2023年まで19年連続、公募株式投信に至っては1998年から2023年までの26年連続の純資金流入となっています。
昨年は、公募投信の年間純流入額が8兆8,551億円、うち株式投信が7兆7,443億円。株式投信の直近10年間の平均純資金流入額は8兆2,037億円です。今年10ヵ月で積み上げてきた15兆円余りの純流入額がいかに突出した規模かがお分かり頂けると思います。27年連続純流入も射程圏内と言って良いでしょう。
インデックス型投信は、資金フローにも大きく貢献しています。2024年1月~10月の準資金流入額を集計すると、インデックス型投信は10兆7,514億円の純流入。公募株式投信全体の68.7%を占めています。
2024年間の純資金流入額がどこまで伸びるのか、残り2ヵ月の資金動向に注目です。
【参考サイト】