マグロ初競りと日経平均株価の意外な関係

2025年相場が始まりました。大発会となる1月6日は残念ながら日経平均は下落となりましたが、実は大発会は下落したほうがその後の1年を通した相場は良くなるというアノマリーをご存じでしょうか。


2024年から2018年までの過去7年間において、大発会で日経平均が上昇した2018年、2022年は年間では下落し、逆に下落した2019年、2020年、2023年、2024年は年間では上昇しています。


あくまでアノマリーではありますが、7年連続というのはなかなか珍しい出来事ですし、2025年も期待してしまいますね。


アノマリーでいえば、もう一つおもしろいものをご紹介します。それはマグロの初競りの結果、高値で落札された年は日経平均が上昇するというものです。


「景気の気は気分の気」というくらいなので、なんとなく理由もわからなくはない気がしますが、実際、過去の価格と日経平均株価がどうなっていたかを振り返ってみましょう。


マグロ初競りの価格と日経平均株価の騰落率(単位 万円、%)

報道数値よりDZHFR作成




2025年は5日に豊洲の東京中央卸売市場で初競りが行われ、今年一番高値のマグロは大間産クロマグロとなり、仲卸の「やま幸」「鮨 銀座おのでら」などを運営する会社らが共同で落札しました。


落札価格は2億700万円で1キロ当たり75万円となりました。昨年に続いて2年連続での「億」超となり、落札総額では、2019年に「すしざんまい」を展開する喜代村が落札した3億3360万円に次ぐ過去2番目の高値です。


ちなみに2019年は、築地から豊洲に移転した最初の年でもあり、例年にも増してご祝儀ムードでした。今年はそれに次ぐ高値となったわけです。


2024年は1億1424万円(1キロ当たり48万円)。2023年は3604万円(1キロ当たり17万円)。ともに1キロ当たりの価格が2桁万円と高額で、日経平均株価もまた2桁の上昇率となりました。


一方、2022年は1688万円(1キロ当たり8万円)で1キロ当たりの価格が10万円以下で、日経平均は9.4%の下落となりました。コロナ禍の影響が残る中で落札額も伸び悩みましたが、株価の方も米国の利上げの影響などから軟調推移となりました。


2020年と2019年は1キロ当たりの落札価格がそれぞれ70万円、120万円と高額で、日経平均も同16.0%高、18.2%高と堅調。ですが、2018年は1キロ当たり9万円にとどまり、日経平均は12.1%安と2桁の下落と奮いませんでした。


ちなみにマグロの初競り価格が初めて1億円(1億5540万円で1キロ当たり70万円)を超えた2013年の日経平均株価は56.7%もの上昇となりました。これはもちろんアベノミクス効果があってこそですが、それだけ景気に対する私たちの心理が上向きだったことも事実であると思います。散布図を見ても、日経平均が下落した年はマグロの初競り価格は安値となっていますね。





単なるアノマリーではありますが、初競りにおいて高額で落札されるということは、前述したように景気に対する心理を表わしている面があり、アベノミクスによる景気への期待が高いときとコロナ禍で大きなダメージを受けた後では、人の気持ちも相場の空気も違っていて当然ということは言えるでしょう。


2025年、過去2番目の高値となった初競りのマグロ価格を受けて、日経平均はどのような値動きを見せてくれるのでしょうか。願わくは今年も2桁の上昇といきたいところです。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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