【米国株インサイト】業績上振れ銘柄:デッカーズ、「HOKA」ブランドがけん引

デッカーズ・アウトドア、海外販売が50%増と急成長

フットウエアブランドを展開するデッカーズ・アウトドア(DECK)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比17%増の9億6500万ドル、純利益が20%増の1億3900万ドルとなりました。EPS(1株利益)は0.93ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.68ドルを36.0%上回っています。


売上高は2桁増となりましたが、売上原価が20%増と増収率を上回り、粗利益率は前年同期の56.9%から55.8%に低下しました。一方、販売管理費が11%増の3億7300万ドルにとどまり、営業利益は24%増の1億6500万米ドルに伸びています。


フットウエアの主なブランドはUGG(アグ)、HOKA(ホカ)、Teva(テバ)、Sanuk(サヌーク)、Koolaburra(クーラブラ)、AHNU(アニュ)です。


ブランド別の売上高ではHOKAが20%増の6億5300万ドル、UGGが19%増の2億6500万ドルと好調だった半面、その他のブランドは19%減の4600万ドルにとどまっています。ステファノ・カロティ最高経営責任者(CEO)は「HOKAとUGGが予想を上回った」と述べた上で、「貿易環境に不透明感は残るが、ブランドへの信頼度は揺るぎない」と話しています。



販路別の売上高は卸売りが27%増の6億5200万ドル、消費者への直接販売が1%増の3億1200万ドル。地域別では米国内が3%減の5億100万ドル、国外が50%増の4億6300万ドルでした。


決算発表時のガイダンスでは2025年7-9月期の売上高を13億8000万-14億2000万ドル、EPSを1.50-1.55ドルと予想しています。前年同期(2024年7-9月期)の実績は売上高が13億1100万ドル、EPSが1.59ドルです。


ニューモント、金の平均価格上昇で利益2.4倍に急増

金の採掘・製錬を手掛けるニューモント(NEM)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比21%増の53億1700万ドル、純利益が2.4倍の20億6100万ドルとなりました。調整後EPS(1株利益)は1.43ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.18ドルを21.6%上回っています。


持ち分法適用の鉱山を含む金の生産量は連結ベースで4%減の147万8000オンスと縮小しましたが、金の平均実勢価格(1オンス当たり)が41%高い3320ドルとなり、採算が改善しました。売上高が伸びる中、費用・支出が33%減の22億4900万ドルにとどまり、利幅が広がっています。



純利益から投資案件の公正価値変動分や法人税などを除外した調整後純利益は91%増の15億9400万ドル、調整後EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)は52%増の29億9700万ドルです。


製品別では金の存在感が大きく、売上高が26%増の45億8200万ドルに伸びた半面、販売コストが6%減の16億7700万ドルとなり、利幅が広がりました。ほかの製品の売上高は銅が5%減の3億6000万ドル、銀が9%減の1億9100万ドル、亜鉛が5%減の1億4100万ドル、鉛が2%減の4300万ドルと軒並み縮小しています。



ニューモントのトム・パルマー最高経営責任者(CEO)は「力強い第2四半期決算だった」とコメントした上で、2025年のガイダンスを達成するための軌道に乗っているとの見方を示しました。


経営陣が示したガイダンスでは2025年12月通期の金生産量を590万オンスに設定し、2025年1-3月期決算の発表時に示したガイダンスを据え置きました。実際の生産量は301万5000オンスで、通期目標に対する達成率は51.1%です。


ブッキング・ ホールディングス、調整後純利益26%増

オンライン旅行会社のブッキング・ ホールディングス(BKNG)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年比16%増の67億9800万ドル、純利益が41%減の8億9500万ドルでした。調整後のEPS(1株利益)は55.40ドルで、LSEGがまとめた市場予想の50.22ドルを10.3%上回っています。


為替差損などの計上でその他支出が9億6200万ドル(前年同期は3700万ドルのその他収益)となったことが減益要因です。こうした要因を除く調整後純利益は26%増の18億700万ドルに達しています。



売上高は順調に伸びており、特に旅行予約時などに利用者がオンラインで決済し、ブッキング・ホールディングスが代金を受け取るマーチャント型の収入は29%増の44億5700万ドルとなりました。一方、宿泊予約やフライト予約の仲介手数料を受け取るエージェンシー型の収入は5%減の20億4400万ドルにとどまっています。広告収入は10%増の2億9700万ドルと着実に伸びています。


2025年4-6月期には延べ室数(ルームナイツ)が8%増の3億800万、予約総額が13%増の467億ドルに達しました。グレン・フォーゲル最高経営責任者(CEO)は「2つ以上の旅行手段を予約するケースが健全に伸びている」と話しています。



ガイダンスでは2025年7-9月期の延べ室数が前年同期比で3.5-5.5%、予約総額が8-10%増えると予想しています。売上高は7-9%増え、調整後EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が6-9%増の39億-40億ドルに達すると見込んでいます。


2025年12月通期では売上高の伸びが2桁の低い水準、調整後EBITDAの伸びを10%台半ばと想定しています。

中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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