BTCドル、8万ドル割れが目前に…
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は2025年11月26日21時頃、対円では1362万円前後と前週(7日前)比で約4.8%低い水準で取引されています。BTCドルが8万6800ドル台と、月初来は約20%超の下落率です。
軟調な動きが続いていたBTC相場の11月は、先週末21日にかけて下落がさらに加速。BTC円は約7か月ぶりの安値となる1264万円前後まで下値を広げました。BTCドルもニューヨーク序盤に8万500ドル台と4月前半以来の8万ドル割れ直前まで売り込まれました。
ロングの投げ、またはコストが良いロングは利益確定の売りが断続的に持ち込まれる、という展開が続きました。

※Trading Viewより
「ビットコインの11月の下落、ほぼすべてが米取引時間中に発生」コインデスク
こちらの記事は、金融機関向けにデジタル資産に関するデータ分析を提供する「アンバーデータ(Amerdata)」のデータをもとにしています。
それによれば、11月を通じて顕著なことは、BTC相場の下落は米国の時間帯でほぼ全て起きているということでした。アジア時間は横ばいが多く、欧州が中心の取引時間帯にやや弱含みだったとしています。
世界最大の経済大国であり、金融取引の中心地の米国は、トランプ第2次政権の誕生後に暗号資産の規制緩和を進めています。米政府が暗号資産支持を明確にし、現物ビットコインETFに機関投資家の資金が流れ込んでいたことへの反動がかなり大きかったということでしょう。
トランプ一族も痛い目に?!
今回の下落で、暗号資産全体の時価総額は一時2.74兆ドルまで縮小しました。10月の過去最大からだと1.5兆ドル超を失い、下落率は約35%にも達しています。
そういった中、暗号資産に積極的に投資してきたトランプ大統領の一族も資産を減らしました。
「暗号資産急落、トランプ一族にも打撃…」Bloomberg
この秋に一族の資産は約10億ドル減少し、その要因は暗号資産がほとんどということです。とはいっても、一族の資産は60億ドルを超えた水準ではあります。

※Trading Viewより
NY連銀総裁に感謝
軟調なBTCでしたが、21日夜からは買い戻しが強まりました。きっかけは、米連邦公開市場委員会(FOMC)で重要な位置にいるウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁の発言です。
パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の代弁者ともいわれるNY連銀総裁は、「FRBはインフレ目標にリスクを与えることなく、短期的に利下げが可能」と の見解を示しました。10月末以降は利下げ期待が大きく後退していたところでの発言内容は、サプライズなものでした。
金利先安観の強まりは、金利がつかないBTCにとって追い風となります。また、株式市場にとってもプラス材料であり、リスク志向ムードの回復もBTCの押し上げにつながりました。
週明けは暗号資産全般に買い戻し圧力が強まり、BTC円は1400万円付近、BTCドルが8万9200ドル前後まで持ち直しました。直近安値から10%超の上げ、ウィリアムズさんに感謝ですね。

※Trading Viewより
一方、日本では
日本では11月26日、金融庁の金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ(WG)」が開かれました。このWGは、暗号資産の制度設計を議論する場として設けられ、利用者保護と市場の健全性を目的に審議を進めてきました。
この日の会合では報告書案が示され、暗号資産を投資商品として位置づける方針が確認されました。これにより、規制の根拠を資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移し、証券取引と同じ枠組みで管理する方向性が明確になりました。
この移行によって、インサイダー取引規制や不公正取引への課徴金制度が導入される見通しです。従来は決済手段として扱われてきた暗号資産が、投資対象として厳格なルールの下に置かれることになります。
会合では、交換業者による「販売所」誘導への懸念も示され、最良執行義務の観点から利用者に不利益が生じないよう課題として整理されました。ただし、こうした制度設計は市場の透明性を高める一方で、事業者に新たな負担を求めることにもつながります。
さらに、銀行子会社による暗号資産交換業への参入解禁が提案されました。既存の金融機関が市場に加わることで、利用者保護や資金流出リスクへの対応力が強化される可能性があります。今回の会合で示された方向性は、2026年通常国会での法案提出に向けた重要なステップとなり、暗号資産制度の大きな転換点になると考えられます。



