【米国株インサイト】業績上振れ銘柄:ディズニー、動画配信事業やパーク部門が堅調

ウォルト・ディズニー、所得税還付が大幅増益要因

ウォルト・ディズニー(DIS)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比2%増の236億5000万ドル、純利益が2倍の52億6200万ドルとなりました。調整後EPS(1株利益)は1.61ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.47ドルを9.5%上回っています。


多額の所得税還付が大幅増益につながりました。特別要因を除く調整後EPSは16%増の1.61ドルです。


事業別ではばらつきがあり、主力の娯楽部門は売上高が1%増の107億400万ドル、営業利益が15%減の10億2200万ドル。特に広告収入の減少を背景にテレビ事業が15%減収、28%減益と苦戦しています。



娯楽部門の内容をみると、ストリーミング動画配信などの直接販売事業は加入者数増加や値上げの効果で売上高が6%増え、営業損益ベースで3億4600万ドルの黒字(前年同期は1900万ドルの赤字)に転換しました。動画サービスの2025年6月末時点の加入件数は「ディズニー+」が1%増の1億2780万件、「フールー」が1%増の5550万件です。コンテンツ・ライセンス部門は7%増収と堅調でしたが、営業損益では赤字に転落しています。


体験部門は売上高が8%増の90億8600万ドル、営業利益が13%増の25億1600万ドルと増収増益。イースター休暇のタイミングが最大で4000万ドルの増益要因となる半面、ディズニークルーズ・ラインの開設を前にした準備費用が最大で3000万ドルの減益要因となりました。体験部門の中ではパーク事業が9%増収、16%増益と牽引しました。消費者製品事業は売上高が3%増、営業利益が1%増と小幅に伸びています。


スポーツ専門チャンネルの「ESPN」を軸とするスポーツ部門は売上高が5%減の43億800万ドルにとどまりましたが、営業利益が29%増の10億3700万ドルと好調。インドのスポーツチャンネルの統合に伴い前年同期に多額の損失を計上した反動で3割増益となっています。



ガイダンスでは2025年7-9月期について、「ディズニー+」と「フールー」の加入者数が2025年4-6月期に比べて1000万件以上増えるとの見方を示しました。一方、2025年9月通期については調整後EPSを前年比18%増の5.85ドルと予想しています。セグメント別では娯楽部門の営業利益が2桁増、体験部門の営業利益が8%増、スポーツ部門の営業利益が18%増としています。


ギリアド・サイエンシズ、HIV予防薬を当局が承認

バイオ医薬品の世界的な大手、ギリアド・サイエンシズ(GILD)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比2%増の70億8200万ドル、純利益が21%増の19億6000万ドルとなりました。非GAAP(米国会計基準)のEPS(1株利益)は2.01ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.96ドルを2.6%上回っています。


製品によって販売動向にばらつきがありましたが、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染症治療薬の「Biktarvy(ビクタルビ)」や「Descovy(デシコビ)」、乳がん治療薬の「Trodelvy(トロデルビ)」の販売が伸び、増収を確保しました。研究開発費や関連の減損損失の計上で営業利益は6%減の24億7400万ドルにとどまりましたが、その他損益のプラス転換で2桁増益を達成しています。



治療分野別の売上高はHIV感染症治療薬が7%増の50億8800万ドルと牽引しました。がん治療薬は「Trodelvy(トロデルビ)」の販売増で1%増の8億4900万ドルと小幅に伸びた半面、ウイルス性肝炎の治療薬は4%減の7億9500万ドルにとどまっています。


さらにその他治療薬が28%減の2億200万ドルと低調でした。特に新型コロナウイルス治療薬の「Veklury(レムデシビル)」は流行が下火になったことで44%減の1億2100万ドルに落ち込んでいます。


最近の事業展開では2025年6月にHIV感染症の予防薬「Yeztugo(レナカパビル)」が米食品医薬品局(FDA)に承認されたことが追い風になりそうです。半年に1度の注射で強力な予防効果があるHIV感染症の予防薬は世界初となります。



ガイダンスでは2025年12月通期の営業利益を103億-107億ドル、非GAAPのEPSを7.95-8.25ドルと予想しています。2025年4月に発表したガイダンスでは営業利益を102億-107億ドル、非GAAPのEPSを7.70-8.10ドルと予想しており、今回はそれぞれ上方修正しています。

中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

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