【米国株インサイト】業績上振れ銘柄:TKO、傘下のプロレス団体とESPNが5年契約

TKO・グループ、プロレス部門が業績けん引

スポーツ・エンターテインメント事業を手掛けるTKO・グループ・ホールディングス(TKO)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比10%増の13億800万ドル、純利益が66%増の9800万ドルとなりました。調整後EPS(1株利益)は1.17ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.05ドルを11.6%上回っています。


総合格闘技団体のUFC(アルティメット・ファイティング・チャンピオンシップ)と世界最大のプロレス団体のWWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)がそろって好調で、2025年2月に買収したスポーツ代理店とイベント会社、闘牛団体(以下、合わせてIMG)の小幅減収を補っています。



特にWWE部門が牽引役で売上高が22%増の5億5600万ドル、調整後EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が31%増の3億3000万ドルに達しました。世界最高峰の総合格闘技イベントを開催する団体として知られるUFC部門は売上高が5%増の4億1600万ドル、調整後EBITDAが6%増の2億4500万ドルと着実に伸びています。


IMG部門は売上高が4%減の5億5600万ドルにとどまりましたが、調整後EBITDAが2900万ドルとなり、前年同期の9100万ドルの損失から黒字に転換しています。


今後の事業展開では先に発表したウォルト・ディズニー(DIS)傘下のスポーツ専門チャンネル「ESPN」とWWEの契約が追い風になると見込まれます。WWEは米国での「プレミアム・ライブイベント」をESPNの新たな動画配信プラットフォームに提供する予定です。契約期間は5年間で、WWEは安定的な収入を確保するとみられています。



ガイダンスでは2025年12月通期の売上高を46億3000万-46億9000万ドル、調整後EBITDAを15億4000万-15億6000万ドルと予想しています。2025年5月に発表したガイダンスでは売上高を44億9000万-45億6000万ドル、調整後EBITDAを14億9000万-15億3000万ドルと予想していましたが、それぞれ上方修正しています。


モンスター・ビバレッジ、売上高が初めて20億ドル突破

エナジードリンクの生産・販売を手掛けるモンスター・ビバレッジ(MNST)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比11%増の21億1200万ドル、純利益が15%増の4億8900万ドルとなりました。調整後EPS(1株利益)は0.51ドルで、LSEGがまとめた市場予想の0.48ドルを6.2%上回っています。



四半期ベースの決算で売上高が20億ドルを突破するのは今回が初めてです。「モンスターエナジー」を主軸とするエナジードリンク部門は売上高が11%増の19億3700万ドル、筆頭株主のコカ・コーラ(KO)から譲り受けたブランドを含む戦略ブランド部門が19%増の1億3000万ドルと伸び、売上高を押し上げています。アルコール部門は9%減の3800万ドルでした。一方、地域別では国外が16%増の8億6400万ドルに拡大しました。


粗利益率は55.7%と前年同期の53.6%から上昇しています。価格戦略やサプライチェーンの適正化、コスト抑制などで採算が改善しました。



ヒルトン・シュロスバーグ最高経営責任者(CEO)は「4-6月期の好業績は革新的な製品の成功が反映された」と説明しています。今後については「1人当たりのエナジードリンク消費量が増えている点は望ましい」との考えを示しました。


ゴーダディ、通期の売上高予想を上方修正

ウェブサイトのドメイン管理やウェブホスティングといったサービスを手掛けるゴーダディ(GDDY)が発表した2025年4-6月期決算は売上高が前年同期比8%増の12億1800万ドル、純利益が37%増の2億ドルとなりました。調整後EPS(1株利益)は1.41ドルで、LSEGがまとめた市場予想の1.33ドルを5.9%上回っています。


売上高が着実に伸びる中、売上原価は8%増の4億4200万ドルと増収率並みでしたが、営業費用の抑制で売上原価と営業費用が合わせて4%増の9億5100万ドルにとどまり、営業利益が28%増の2億6600万ドルに達しました。



事業別ではドメインの登録・更新やドメイン販売のアフターサービスなどを担うコア・プラットフォーム部門が堅調で、売上高が5%増の7億5400万ドル、EBITDA(利払い・税引き・減価償却前利益)が12%増の2億4600万ドルでした。


一方、アプリケーション&コマース部門は売上高が14%増の4億6400万ドル、EBITDAが17%増の2億600万ドルと2桁の増収増益です。この部門はソフトウエア製品やオンラインストアの運営に使うコマース製品、メール関連製品などが主力です。特にウェブサイトの作成やオンラインストアの立ち上げなどに使う「Websites + Marketing」などのソフトウエアに強みを持ちます。


アマン・ブタニ最高経営責任者(CEO)は四半期決算について「エージェント型人工知能(AI)の潜在性で活気づき、イノベーションを持続的に加速する戦略の力を実証した」とコメントしています。



ガイダンスでは2025年12月通期の売上高を48億9000万-49億4000万ドルと予想し、2025年5月に発表した48億6000万-49億4000万ドルから小幅に上方修正しました。事業別ではコア・プラットフォーム部門が1桁台前半、アプリケーション&コマース部門が10%台半ばの伸びを達成すると予想しています。


一方、ゴーダディは今後の事業展開について、2025年10月から「.CO」のトップレベルドメインを管理するレジストリではなくなるものの、認証レジストラとしての役割を担うと説明しています。


中国株情報部

島野 敬之

出版社を経て、アジアの経済・政治情報の配信会社に勤務。約10年にわたりアジア各国に駐在。 中国株二季報の編集のほか、個別銘柄のレポート執筆を担当する

島野 敬之の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております