2026年前半に集中するスポーツイベント 「地上波以外でスポーツ」という文化

国際的なスポーツ大会は「4年に1度」が多いものです。公約数ではないですが、数十年のスパンでそれらが同じ年に集中開催されることは理論上十分に有り得ます。とはいえスポーツ好きの人にとっては祭りの時期が長く続くような興奮があります。経済効果も合わせて考察していきましょう。


2026年前半のスポーツイベント

2026年前半はまず、冬のオリンピックが開幕します。年明けのスポーツといえば箱根駅伝だろうという声もありますが、毎年開催ではなく、あくまで数年に一度のサイクルで開催されるイベントに限定していきましょう。



ミラノ・コルティナダンペッツオ冬季五輪(2026年2月6日~22日)

「コルティナダンペッツォ」はミラノから北東部250kmの場所にあります。東京から直線距離だと、福島市や名古屋市にあたる部分です。その距離感で考えると共催のイメージが沸きませんが、平地でのイベントはミラノ、スキージャンプなどの山地が最適のイベントはコルティナダンペッツオで行う二拠点開催となります。スキージャンプやフィギュアスケートなど、長く停滞していた日本が巻き返してきている競技には、高い関心が寄せられることでしょう。


ワールドベースボールクラシック:WBC(2026年3月5日~17日)

野球の国・地域別対抗戦です。前回2023年大会は日本代表がアメリカ代表を破り、3大会ぶり3回目の優勝を飾りました。優勝旗奪還に燃えるアメリカは前回以上の精鋭を揃えると噂されており、連覇を狙う日本のラインナップが注目されます。「あの」メジャーリーガーは出場するのでしょうか。


春の全国高校野球:センバツ(2026年3月)

コアな野球ファンにしか広まっていませんでしたが、今年の夏の大会は2年生投手が大活躍をしました。優勝した沖縄尚学高校の末吉投手をはじめ、2026年秋のドラフト会議を見据える有望な選手たちが最終学年を迎えます。3月のセンバツが終わると、やはり同年8月にある「夏の甲子園」が彼らの最後の晴れ舞台です。何年か一度にある投手の当たり年は意外にも、下馬評の高くはない彗星のような存在が主役をかっさらうことも十分にあり得ます。


ボクシングスーパーバンタム級 井上尚弥 vs 中谷潤人(2025年5月)

バンタム級2団体統一王者の中谷選手がベルトを返上し、1階級上のスーパーバンタム級への転向を表明しています。同級には4団体統一王者の井上尚弥選手が君臨しています。2026年5月に直接対決にて雌雄を決する見通しで、世界最高峰の舞台での日本人対決が実現するといわれています。また会場は東京ドームが想定されています。日本人同士が世界の頂点を決める。往年のボクシングファンが東京の水道橋に集結します。


2026年 FIFAワールドカップ北中米大会(2026年6月11日~7月19日)

2026年前半を締めるのが男子サッカーのワールドカップです。アメリカ・カナダ・メキシコの北中米3カ国で開催されます。日本は2025年6月現在で既に本大会出場を決めており、またヨーロッパで活躍する選手が最大数で招集される見通しから、過去最高レベルの成績を残せるのではないかと予測されています。


2026年後半も数多くのスポーツイベントが予定されていますが、前半ほど集中開催の印象がある年も珍しいものでしょう。ではスポーツイベントの集中開催は、どのような経済効果が見込めるのでしょうか。



「地上波以外でスポーツを見る」という文化の醸成

五輪や前回までのWBCなど、大きなスポーツイベント時にはテレビなど視聴環境の整備、スポーツバーなど飲食需要が目立ちました。2026年もこの流れは継続される見込みですが、国内家電量販店などにおけるテレビの半数が海外生産となっているという報道もあり、日本国内への経済効果は減少傾向となる可能性もあります。強かった頃の日本の製造業が偲ばれますが、世界経済の移り変わりを前時代的に嘆いても仕方ありません。


代わりに存在感を示すのではと考えられるのが「地上波以外の視聴コンテンツ」です。Amazonプライムビデオやネットフリックス、U-NEXTなどの動画コンテンツが若者を中心に支持されています。執筆時の2025年9月現在、WBCはネットフリックスの独占配信とされ、「地上波では見られない可能性が高い」ものです。スポーツの主催団体が地上波での放送を打診していますが、そもそもネットフリックスも双方の放映権を大会主催者から購入しており、「ボランティアで地上波にも放送権を与える」ことに道理が通るものではありません。


また「AI×スポーツ」も爆発的に発展するタイミングとなるでしょう。選手の過去の成績や対戦成績、コンディションの可視化など。蓄積されたデータのうえで我々は勝負を楽しみます。


スポーツを見るのならば、双方の有料メディアに加入をしたうえで、AIを駆使して視聴を楽しむ。このような新しい視聴環境が整備されたうえで、我々は2026年のスポーツイベント集中開催を迎えていくことになるでしょう。


独立型ファイナンシャルプランナー

工藤 崇

株式会社FP-MYS 代表取締役 1982年北海道生まれ。相続×Fintechサービス「レタプラ」開発・運営。2022年夏より金融教育のプロダクト提供。上場企業の多数の執筆・セミナー講師の実績を有する独立型ファイナンシャルプランナー(FP)。

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