帝国データバンクは9月30日、10月分の「食品主要195社」価格改定動向調査を発表しました。同調査によると、10月の飲食料品値上げは合計3024品目となり、前年同月比では100品目(3.4%)増加しました。
これで前年同月を上回るのは10カ月連続となり、連続期間としては2022年の統計開始以来で最長とのことです。また、値上げ1回あたりの値上げ率平均は17%と前月の14%を大きく上回りました。品目も値上げ率もともに大幅な値上げということで、まさに値上げラッシュの秋到来と言えます。
値上げの品目数についての推移(帝国データバンク公表データをもとにDZHFR作成)
2025年10月の値上げを食品分野別に集計すると、最も値上げが多かった分野は焼酎やリキュール、日本酒などアルコール飲料をはじめとした「酒類・飲料」で2262品目が値上げとなりました。
次いで、「加工食品」が340品目。包装米飯や餅製品などが中心となります。9月に品目数でトップだった「調味料」が246品目で3位となっています。
2025年通年での値上げ品目数(12月までの公表分含む)を見ると、累計で2万0381品目となりました。2024年の実績(1万2520品目)を62.8%上回りました。11月までの公表分時点で2万品目は超えていましたが、そこからさらに300品目強増加したことになります。
2万品目を超えるのは2023年の3万2396品目以来、2年ぶりということで今年は値上げが多いなという実感を裏付けるデータとなります。
値上げの要因別では、2024に多かった円安によるものが減少している一方で、原材料の価格高騰や物流費、包装・資材といったコストプッシュ型によるものが目立っています
こうしたコストプッシュ要因によるの値上げは、粘着性が高く、前年の円安や天候不順などによる一過性のものとは異なります。賃上げなどにより1人当たりの人件費が増加するなかで、労務管理や働き方改革の問題も重なり、コスト要因による値上げは今後もしばらく続くことになるでしょう。
一方で賃金が上がっても物価上昇が上回ることによる実質賃金のマイナスが常態化しており、消費者の値上げに対する抵抗感も高まっています。今後は値上げをしても売り上げを維持できる企業とそうでない企業とで優勝劣敗の流れが強まることになりそうです。