食料品値上げはいつまで続く? 今後の見通しを徹底解説

9月の飲食料品値上げ1400品目超 通年では2万品目超


帝国データバンクは8月29日、9月分の「食品主要195社」価格改定動向調査を発表しました。同調査によると、9月の飲食料品値上げは合計1422品目となりました。前年9月比では8品目/0.6%増となり、9カ月連続で前年同月を上回ったということです。


値上げ1回あたりの値上げ率平均は14%と、前月の11%を上回っており飲食品メーカーによる値上げの動きが一層厳しくなっていることがわかります。


値上げの品目数についての推移(帝国データバンク公表データをもとにDZHFR作成)



分野別の集計によると、最多となったのが「調味料」(ソース、マヨネーズ、ドレッシング類)で、値上げ品目数は427。次いで、冷凍食品などの値上げが目立った「加工食品」が338品目。「菓子」、「乳製品」ではチョコレートやポテトチップス類、アイスクリームなどが一斉に値上げとなり、それぞれ291品目、138品目となりました。そのほか、原材料ではキャノーラ油製品など100品目を超える値上げが実施されています。


2025年通年での値上げ品目数(11月までの公表分含む)を見ると、累計で2万0034品目となりました。2024年の実績(1万2520品目)をすでに60%上回っています。1回あたりの平均的な値上げ率は前述したように15%。2024年が17%だったことを考えると低くは見えます。ただ、これは値上げ疲れとも言われ、2023年に比べ値上げ品目数が減少した2024年は、その分どうしてもこれだけは値上げしないとという物の割合が増えた結果、値上げ幅が大きくなった面もあると考えられます。一回当たりの値上げ幅は若干落ち着いているものの、品目数が再び大幅増加の傾向にあることが2025年の特徴であるともいえるかもしれません。


値上げ要因では、原材料の価格高騰によるものが全体の97.3%を占めたほか、物流費が80.3%、エネルギー(光熱費)が同65.5%、人件費が54.2%となっています。一方で円安を要因とした値上げは12.0%に落ち着いているもようです。


この先、年末にかけても値上げ圧力は強まってくると帝国データバンクでは予想しています。材料高に加えて物流費や賃上げによる労務費など粘着性が高いことが理由です。2023年から2024年にかけては、国際的な小麦・食用油や原油価格の急騰や、急激な円安による輸入物価の上昇など、一過性とみられた外的要因による物価高も要因になっていました。その後、2025年にかけては持続的で内的要因によるインフレ傾向に変化しているため、継続的な値上げが不可欠となっていると指摘しています。まだまだ値上げラッシュの動きが続きそうです。


日本株情報部 アナリスト

斎藤 裕昭

経済誌、株式情報誌の記者を経て2019年に入社。 幅広い企業への取材経験をもとに、個別株を中心としたニュース配信を担当。

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