株主優待の中でも、使い勝手の良い「クオカード」をもらえる銘柄は人気があります。その中でも、ファースト住建と泉州電業は、長期保有することでよりお得に優待を受けられる点が特徴です。
今回はこの2銘柄について、株主優待内容や利回り、不祥事の影響についても詳しく解説します。
ファースト住建(8917)
ファースト住建は、近畿圏を中心とした、木造戸建て分譲住宅を建築・販売する不動産会社です。建売住宅だけでなく、注文住宅や集合住宅の建築や分譲マンションの企画・販売、中古マンションのリノベーションなど、不動産に関する様々な事業を行っています。
ファースト住建の最悪な不祥事とは?
2007年に、過去に建築・販売した木造2階建て住宅のうち約530棟で、建築基準法で定められた必要な壁量が不足する不祥事が発生したと発表しています。無償補修工事などを行いましたが、信用は低下し、補修工事のみで賠償などの対応がなかったことから、住宅購入者から不満の声も上がりました。
ファースト住建の株価
2025年9月時点の株価は約1300円です。2007年の株価は約1300円前後でしたが、不祥事を受け、2008年に約150円の底値を記録しました。その後、2018年に約1800円まで回復するものの、その後は小さな株価変動を繰り返しながら、ゆるやかな右肩下がりの傾向が続いています。
株主優待は長期保有者対象
ファースト住建の株主優待は、毎年4月末と10月末の権利確定日に、100株以上の株式を1年以上継続して保有する株主に対して、株式の保有数に応じて贈呈されます。株式の保有数に応じて贈呈される株主優待の内容は、下記の一覧表をご確認ください。
ファースト住建の配当
2025年度の配当金は、4月末の中間配当で21円、10月末の期末配当で22円の、年間1株当たり43円となる予想です。この金額は、2017年度から8期連続で同金額を維持しています。
ファースト住建の利回り
1株1300円で100株購入した場合、投資金額は13万円です。配当金は4300円のため、配当利回りは約3.3%になります。また、1年以上継続して保有すると、株主優待として年間で1000円相当のクオカードが贈呈されるため、配当と優待を合わせた利回りは約4.1%です。
株式の保有数に応じた配当と優待を合わせた利回りの一覧は、下記の表をご参考ください。
泉州電業(9824)
泉州電業は、電線やケーブルの専門商社です。国内外問わず様々な商品を取り扱うだけでなく、ニーズに合わせた商品を自社で製造するメーカーとしての一面も持ち合わせています。また、光ファイバやLANなどのネットワーク関連事業、ネットワーク工事、コンサルティング事業など、様々な事業を行っています。
泉州電業の最悪な不祥事とは?
2022年に、従業員を装った不審メールが社内外に送信されている不祥事が発生しています。個人情報の流出規模は不明ですが、ネットワーク関連事業を行う企業でありながら、情報セキュリティ対策の不十分さが露呈した形となりました。
泉州電業の株価
2025年9月時点の株価は約4300円です。2016年までの株価は1000円以下でしたが、2017年から2020年頃まで約1500円前後を推移し、2021年に入り急上昇し、2024年には約5600円の高値を記録しました。
株主優待は長期保有特典あり
泉州電業の株主優待は、毎年10月末の権利確定日に、100株以上の株式を保有する株主に対して、継続年数が1年未満の場合は約1000円相当の、1年以上の場合は2000円相当のオリジナルクオカードが贈呈されます。
泉州電業の配当
2025年度の配当金は、4月末の中間配当で75円、10月末の期末配当で75円の、年間1株当たり150円となる予想です。この金額は、2020年度の35円、2021年度の45円、2022年度の70円、2023年度の110円、2024年度の130円から5期連続で増配しています。
泉州電業の利回り
1株4300円で100株購入した場合、投資金額は43万円です。配当金は15000円のため、配当利回りは約3.5%になります。また、初年度は株主優待として年間で1000円相当のクオカードが贈呈されるため、配当と優待を合わせた利回りは約3.7%です。
なお、1年以上継続して保有すると、年間で2000円相当のクオカードが贈呈されるため、配当と優待を合わせた利回りは約4.0%となります。
まとめ
ファースト住建は過去に建築法違反の不祥事が発覚し、株価が大きく下落していますが、現在は回復しており、不祥事の影響はほぼありません。また、泉州電業は個人情報の流出がありましたが、規模は不明で現在のところ不祥事に関する大きな影響は確認できません。
どちらの銘柄も安定した配当と、長期保有でクオカードがもらえる点が魅力で、長期保有向けのおすすめ銘柄です。ぜひ、この機会に投資先として検討してみてはいかがでしょうか?