金融マーケットは「自公連立解消」の影響を見定めるように揺れています。高市氏の首相就任は難しい面もあるものの、まずは高市首相誕生の可能性を主軸に考えつつ、市場はその実現性とリスクを見極めようとしています。投資家は株価や為替などマーケットの複雑な動きに注意を払う必要があります。政治リスクが投資判断に大きな影響を与える状況といえます。
「自公連立解消」で揺れるマーケット
先週末の「自公連立解消」報道を受け、高市氏の首相就任の行方が不透明なことが金融マーケットの大きなリスクとなっています。これまでの高市トレードによる円売り・株買いの巻き戻しが目立ちます。
日経平均は一時48000円台に届いていたものの、週明けは調整の売りに押されています(図表1)。ドル円も153円台から、151円付近と円高に振れました(図表2)。政権運営への不安が、株価と為替の両方に影響した格好です。
高市トレード再燃の期待と肩透かしリスク
依然として高市氏の首相就任が主軸シナリオともされており、21日の臨時国会で新首相が正式に決定される予定ですが、高市首相就任が実現すれば高市トレードの再燃も期待できます。財政拡張政策や金融緩和への思惑が株価を押し上げ、為替は円安方向に振れる可能性もあります。
ただし、前述のような高市氏の求心力低下や、今後連立を組むことになる野党の要求次第で、高市氏の自民党総裁就任直後に高まったような景気浮揚・金融緩和的な政策への期待がはく落するリスクがあります。インフレ圧力が高まるなか、かつてのように日銀の利上げに圧力をかけられるか不確かです。
仮に高市トレード再燃となっても、利上げ回避を織り込めない場合、円高へ振れるリスクが残ります。政権運営への不安が円売りを誘う可能性もありますが、利上げの回避やペースダウンへの期待が肩透かしとなれば円高に振れるという二面性のある状態といえます。
「自公連立解消」に伴う政治リスクが大きな不透明要因となっており、投資家は短期的な振れと、上下両面の政策リスクに注意を払いながらマーケットを見極める必要があります。一方で連立解消に伴う政策の見直しや財政・金融政策の柔軟化は、中長期的には株式市場にとって追い風となる可能性もあります。
株高となれば為替もリスク回避志向を後退させる要因となりますが、いずれにしろ政治リスクは短期的なボラティリティを伴うものです。長期的な視点も必要とされる場面でもあり、期待と警戒感の狭間で複雑な判断を迫られる状況といえます。