BTC、急落
代表的な暗号資産のビットコイン(BTC)は、2025年10月14日15時頃、対円では1706万円台と前週(7日前)比で約8.8%低い水準で取引されています。BTCドルが11万1900ドル前後と月初来で2%弱の低下と、月前半の好調さから一転して上値の重い展開です。
10月10日(金)のニューヨーク時間に、金融市場は一転してリスク回避の動きが強まりました。きっかけは、久しぶりの米中貿易摩擦に対する警戒感の高まりです。
NY昼頃(日本時間の真夜中)に、トランプ米大統領が中国のレア・アース輸出規制を理由に「中国製品への関税引き上げを検討中」と発言したことが伝わりました。これを受けて株式市場が軟調となり、リスク資産とされているBTCも下落しました。
その後、NY市場の終盤(11日の日本時間未明)に、トランプ大統領は「米国は11月1日から中国に100%の追加関税を課す」と発表。週末の流動性の薄い時間帯にリスク資産への売り圧力が強まり、BTCドルはNY序盤の12万2000ドル前後から11万ドルを割り込む場面がありました。
高市トレードによる円安が為替市場で進んでいた反動もあり、BTC円は1860万円前後から1610万円付近まで下げ幅を大きく広げました。
※Trading Viewより
過去最大の清算
10月10日の急落で暗号資産の先物(期限がない永久先物を含む)市場では、強制的に損切りをさせられたロングの規模が最大となったようです。こちらの記事では、24時間で190億ドル超相当の建玉が消滅し、160万人強のトレーダーがロスカットに追い込まれた、とあります
「暗号資産市場で過去最大の強制清算、トランプ氏の…」Bloomberg
「2.8兆円が消えた日。トランプ発言でビットコイン急落」Crypto Times
ビットコイン以上に、アルトコインのダメージが大きかったことも指摘されています。
「暗号資産大暴落をオンチェーン分析、…」Jina Coin
また、↑の記事で興味深いのは「暴落前から増加していた大口のショートポジション」です。
暗号資産分析サイト・グラスノード(glassnode)が追跡するハイパーリキッド(Hyperliquid)の大口トレーダーのポジション動向では、6日時点で売り越しポジションが急激に増加していたというのです。
※Trading Viewより
ハイパーリキッドとは?
ハイパーリキッド(Hyperliquid)とは、暗号資産の分散型取引所(DEX)の一つで、無期限先物(パーペチュアル契約)を中心に扱う高性能な取引プラットフォームです。独自のブロックチェーンを基盤に、中央集権型取引所(CEX、いわゆる通常の取引所)並みの高速性と流動性を実現しています。
そのうえで、資産の自己管理や透明性といったDeFi(分散型金融)の利点をハイパーリキッドは兼ね備えています。取引量は1日あたり数百億ドル規模に達し、2025年時点で、DeFiの無期限先物市場シェア70%超を占める規模に成長。機関投資家の参入も進んでいるようです。
そのハイパーリキッドでクジラと言われる大口トレーダーが、トランプ米大統領の発言前に暗号資産ショートを増やしていたというのです。
※Hyperliquidより
仕組まれたカジノ?
こちら暗号資産やAI関連のニュース提供会社「SWAN」のCEOによるX投稿です。
https://x.com/SOU_BTC/status/1976988552740454485
投稿では「暗号資産市場は“仕組まれたカジノ」と言っています。
ビットコインのクジラが高値圏で売り持ちにし、暴落直前にさらに数百万ドル分のショートを増やし、底値でBTCショートの9割とETHショートを決済したというのです。この取引で、1日で約2億ドルの利益を得たと述べています。
この投稿のように、今回の暴落は「計画された崩壊」だったのではないか?との見方が広まりつつあります。ではクジラは、どうやって情報を仕入れたのでしょうか…。