気になるテーマ解説

つみたてNISAの成績、日経平均とS&P500が逆転?

少額投資非課税制度(NISA)の制度改正が行われ、2024年1月からいわゆる新NISAが始まりました。それから1年9カ月ほどが経ち、間もなく2年を迎えようとしています。1年9ヶ月の間に目まぐるしく相場も動きましたが、つくづく時間が過ぎるのは早いと感じます。


新NISAが始まった当初、何の商品を積み立てるか?といった議論が各所で繰り広げられました。いまだに何が一番良い?という決着はついていないと思われますが、直近の大手インターネット証券の買い付けランキングを見るとeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がトップです。いわゆるオルカンですね。


次いでeMAXIS Slim米国株式(S&P500)とiFreeNEXT FANG+インデックスがしのぎを削っており、ランキング上位の顔ぶれは当初からあまり変わっていません。結論としては各々が投資したい商品に投資するのがベストではありますが、その後の調子は気になるところです。


前置きが長くなりましたが、筆者もつみたてNISAを利用しているので、運用損益は毎日チェックしています。そこで気になったのが今回のタイトル。まさかの逆転劇が起きたので要因を考えていこうと思います。


まさかの日経平均積み立てが

とりあえず筆者の積み立て状況を整理すると以下のようになりました。



ちなみに最も人気のemaxis slimシリーズではなく、楽天プラスシリーズです。ただ、ベンチマークとの乖離を示すトラッキングエラーはどちらのシリーズも同じ程度だったので、成績に大きな差はないと思われます。なお、諸事情により2月約定分からスタートです。


9月22日時点ではこのような状況です。若干ではありますが、足元で225の方が含み益は大きくなってきました。積み立て開始当初はS&P500の方が値上がりが早かったため、やっぱり225積み立てではない方がよかったのかも?と思うときもありましたが、ここ最近でまさかの追い上げです。


次に基準価格の推移を見てみました。


※筆者の積立買付日の基準価格


積み立て開始当初から今年4月まで、楽天225は11000円~12000円の間で横ばい、関税ショックがあった4月が最も安く、その後急上昇していることが分かります。日経平均も同様の動きですね。


一方で、楽天S&P500は右肩上がりであるものの、昨年10月~1月に大きく上昇、1月~4月に大きく下落しています。要因を探すと、昨年10月~1月はドル円が139円→158円に、1月~4月は158円→139円に動いていることが分かりました。


25年1月に買った分の基準価格は楽天225が12023円、9月22日時点で14055円なので上昇率は16.9%。一方、楽天S&P500は15233円→16040円なので、上昇率は5.3%にとどまります。昨年に円安でブーストがかかったため、高く買った積み立て分が足元のパフォーマンスに影響していると思われます。


今後もしのぎ合いなのか?

世界的な株高局面なので、指数連動型の積み立てであればどの商品であっても含み益は出ていると思われます。ただ、日本人が海外株に投資する場合は為替リスクがつきもの。そういったリスクも踏まえて、国内、国外でバランスよく分散するのがベターなのかもしれません。


もちろん、ハイリスクを承知で一極集中するのも方法の一つです。今は225積み立てがS&P500を若干上回ったところですが、今後の為替、指数の上下次第で何度も逆転すると思われます。あまり一喜一憂せず、長期的な目線で臨むことを忘れないでおきたいところですね。


この連載の一覧
つみたてNISAの成績、日経平均とS&P500が逆転?
令和7年の地価上昇トップは北海道
タイムズカーシェアの料金体系変更を考える
流行のハイベータ投資
ユニークなETF(上場投資信託) シンプレクスAM編
ユニークなETF(上場投資信託) グローバルX編
ソフトバンクグループとNAV
営業利益は増加しているが経常利益は減少
レバナスがひそかに高値更新
関税リスク後退で株価回復が期待される業種は?
8つに分けられるTOPIX(東証株価指数)
7月以降は訪日客数が持ち直すか?
いまさら聞けない関税を簡単解説
日銀のスケジュールをチェックしてみよう
注目度急上昇のステーブルコインとは?
モノ言う株主の存在感
量子コンピューターの人気が再燃
名前だけで買われてしまった銘柄
株主還元強化がマストのバリュー株
グロース市場に100億円の壁
NISAでまさかの毎月分配型が解禁?
急落はチャンス? 業種別で大きな差も
インバウンド需要はピークアウト?
節約志向の中で注目したい食品スーパー
日本の水道管は地球30周分
NISAでも債券投資の検討余地?
ありそうでなかったTOB(株式公開買い付け)狙いの投信が登場
HEMSとは
新しい配当基準「DOE」の採用が増加傾向
苦渋の値上げは続くのか
その優待、長く続く?
どこまで利上げする?
最近目にするAIエージェントとは?
2025年の注目テーマ3選
ハンバーガーが高すぎる?
来年はへび 変化の年は課題も山積み
神戸で市立中学校の部活動が終了 民間企業に求められることは?
持ち合い解消の流れが一段と加速
令和7年度の住まい補助は「子育てグリーン住宅支援事業」に
自社株買いの良い影響を考えてみる
AIが人の1万倍賢くなる?
手取りが増えたら何をしたい?
気を付けたい権利取りのポイント
【気になるテーマ解説】DX銘柄も生成AI活用が必須に
来年のNISA枠はどうする?
投資促進の一方で詐欺被害も多発
市場予想との付き合い方
政策保有株の解消良し悪し
「地面師たち」が大ヒット 厳しい日本の土地事情
7分の1は空き家の日本
QUOカードはなぜ人気なのか
住宅ローン人気銀行の動向まとめ
米大統領選、どこに恩恵?
中小型株への資金回帰が鮮明に
国際会計基準のルール変更へ 営業利益が分かりやすく?
新紙幣の発行開始でキャッシュレスが進む?
次世代自動車「SDV」とは?
マンション価格下落も依然高い そういえば晴海フラッグは?
プロが注目する配当株は?
出生率が過去最低を更新 止まらない少子高齢化
日本の長期金利が1%台に 今後の影響は?
日経平均と半導体株の関係
株式分割は本当に好材料なのか
株価は割高なのか? 指標を参考にしてみる
新興市場をざっくり振り返ってみる
金が人気の背景とは?
東京都の予算
マイナス金利解除が決定 マーケットへの影響は?
長期投資は我慢比べ
アクティブETFのその後
シリコンアイランド九州は復活か
政策保有株式の売却が進む(2)
決算プレーと自動売買
配当株投資の怖いところ
インターネット広告に試練 Cookie規制とは?
ロボアドバイザーの先駆け ウェルスナビの実力は?
優秀なインデックスファンドとは?
辰年は上がりやすい?
新NISA 注意したい配当金と分配金
新NISA 流行の積み立てと為替リスク
コスト最安の日本株アクティブファンドが登場
NTTが推進するIOWN構想とは?
政策保有株式の売却が進む
歯の健康は全身の健康 病気は未然に防ぐ時代へ
MSワラントの恐怖
配当金が保険料の賦課対象に?
今年は暖冬の予報 マーケットへの影響は?
投信の超低コスト競争に拍車
建設業界と2024年問題
積み立て投資との相性良し悪し
住宅ローンの借り入れは計画的に
東証スタンダード市場の選択申請が増加中
長期金利と株価の関係はよく言われるが・・・
国内初のアクティブETFが誕生
魚が高すぎて買えません
配当方針いろいろあります
太陽光発電は自家消費へ
メタの新SNS「Threads」使ってみた
電池の覇権、リチウムの次は亜鉛?
SENSEX指数が最高値更新 インドってどんな国?
訪日旅行者は今後も伸びる?
半導体製造装置 1台おいくら?
変動金利型住宅ローンが実質マイナス金利へ
話題沸騰のダイヤモンド半導体とは?
著名投資家の投資候補を考察
デジタル給与が解禁! メリット・デメリットは?
私の銀行は大丈夫?
全人代が開幕 いまさら聞けない日本の中国依存度
金利上昇の懸念はあるが省エネ住宅は拡大へ
【気になるテーマ解説】 健康だけじゃない? アミノ酸の可能性
なんでも材料視する株式市場
多発する客テロ AIカメラに注目集まる
会話は人そのもの 話題の「ChatGPT」とは?
「超」高齢化社会の日本
金利に翻弄される銀行 金利の影響と債券の仕組み
出生数80万人割れへ 子育て関連株の行方は・・・
何かと注目される親子上場
【気になるテーマ解説】市場規模は無限大? 壮大な宇宙産業
【気になるテーマ解説】レベル4解禁! ドローンの普及で何が変わるのか
【気になるテーマ解説】成功率3万分の1? 新薬開発の過酷な道のり
【気になるテーマ解説】パワー半導体ってなんだ?
【気になるテーマ解説】「Web3.0」ってなんだ?

日本株情報部 アナリスト

畑尾 悟

2014年に国内証券会社へ入社後、リテール営業部に在籍。個人顧客向けにコンサルティング営業に携わり、国内証券会社を経て2020年に入社。「トレーダーズ・ウェブ」向けなどに、個別銘柄を中心としたニュース配信を担当。 AFP IFTA国際検定テクニカルアナリスト(CMTA)

畑尾 悟の別の記事を読む

人気ランキング

人気ランキングを見る

連載

連載を見る

話題のタグ

公式SNSでも最新情報をお届けしております