「あの株はいまいくら?」では、話題になった銘柄の現状を確認します。今回はヒット(378A)をみていきます。
同社は屋外広告媒体の企画および屋外広告を中心とした広告全般の取り扱いを行っています。保有している自社の屋外広告媒体は合計61媒体139面(2025年4月末現在)であり、これらはデジタル媒体(デジタルサイネージ)とアナログ媒体(看板)に分類できます。主な特徴は以下となります。
さらに、繁華街媒体とロードサイド媒体に分類されます。
デジタル媒体の売上高は広告費のみ、アナログ媒体の売上高は、広告費と施工費などにより構成されております。施工費などは、施工費、撤去・原状回復費、校正追加費などからなります。
同社の上場については、新味は乏しいもののストック型ビジネスゆえの成長期待があったこと、加えて株式市場が好調に推移していたことから、堅調な初値が期待されていました。では同社の上場からの株価の動きをみていきます。
ヒットの株価推移(上場から2025年9月25日まで)
2025年7月4日に東証グロースに上場した同社の初値は2166円と公開価格1500円を大きく上回りました。初値形成後も堅調な展開となり、2666円まで上値を伸ばし、上場初日は高値引けとなりました。
上場2日目に2875円まで上値を伸ばしたものの、その後は売りに押される展開となります。なお、この2875円が2025年9月25日時点における上場来高値となっています。
その後は、2000円台前半で底堅い動きが続きます。7月23日には2012円まで下落し、2000円割れも意識されましたが、そこから切り返しの動きとなりました。なお、この2012円が2025年9月25日時点における上場来安値となっています。
そして、2000円台前半の水準を維持したまま上場後初の決算発表を迎えます。
同社は2025年8月14日に25.6期通期の連結営業利益は13.9億円(前の期比0.7%減)だったと発表、上場時点の会社予想14.2億円を小幅に下回りました。なお、26.6期通期の営業利益予想は15.1億円(前期比10.4%増)としました。
同社では、26.6期について、新規媒体の開発、広告媒体稼働率の向上および屋外広告周辺サービスの強化を経営戦略の中心に据え、屋外広告媒体新設と媒体稼働率の向上に努めるとしています。
この決算を受けて翌15日の株価は売り優勢となり、一時2070円まで下落しました。しかし売りは続かず、すぐに切り返しの動きとなり、8月19日には2355円まで上昇。その後は引き続き2000円台前半で底堅い動きとなっています。
【ヒットの日足チャート(上場から2025年9月25日まで)】
今後について
同社については、業態的にも業績的にも成熟感があるという印象です。ただ、同社は決算説明会資料において「屋外広告のリーディングカンパニー」から「世界を変えるメディアを創造」への将来的な移行を掲げ、海外進出にも意欲をみせています。
「世界を変えるメディアを創造」は時間がかかりそうですので、まずは成長戦略として挙げている、「東京都内の繁華街でのさらなる拡大」、「東京以外の大都市への進出」、「技術革新による設置媒体の多様化」の進展に期待したいところです。
さらに、「広告媒体の稼働率向上のための広告主との密な連携の推進」や、「屋外広告周辺サービスの提供への積極的な取り組み」を行うとしていますので、これらの取り組みがしっかりと業績拡大に寄与するか、注目していきたいと思います。