NYマーケットダイジェスト・13日 株は今年最大の下げ・金利上昇・ドル全面高

(13日終値)

ドル・円相場:1ドル=144.58円(前営業日比△1.74円)

ユーロ・円相場:1ユーロ=144.18円(▲0.41円)

ユーロ・ドル相場:1ユーロ=0.9970ドル(▲0.0152ドル)

ダウ工業株30種平均:31104.97ドル(▲1276.37ドル)

ナスダック総合株価指数:11633.57(▲632.84)

10年物米国債利回り:3.41%(△0.05%)

WTI原油先物10月限:1バレル=87.31ドル(▲0.47ドル)

金先物12月限:1トロイオンス=1717.4ドル(▲23.2ドル)

 

※△はプラス、▲はマイナスを表す。

 

(主な米経済指標)       <発表値>     <前回発表値>

8月米消費者物価指数(CPI)

前月比              0.1%         0.0%

前年比              8.3%         8.5%

エネルギーと食品を除くコア指数

前月比              0.6%         0.3%

前年比              6.3%         5.9%

8月米財政収支       2196億ドルの赤字   2111億ドルの赤字

 

※改は改定値、▲はマイナスを表す。

 

(各市場の動き)

・ドル円は大幅に続伸。注目の8月米消費者物価指数(CPI)の発表を前に思惑的なドル売りが先行すると、一時141.66円と日通し安値を付けたものの、米CPIの結果が伝わると一転上昇した。

 米労働省が発表した8月米CPIは前年比8.3%上昇と予想の8.1%上昇を上回り、エネルギーと食品を除くコア指数も前年比6.3%上昇と予想の6.1%上昇より強い内容だったことが明らかに。米金利の上昇とともにドル全面高の展開となり、22時過ぎに一時144.68円まで急伸した。

 買い一巡後は伸び悩む場面もあった。7日の高値144.99円がレジスタンスとして意識されたほか、145.00円に観測されているバリアオプションに絡んだ防戦売りなどに上値を抑えられた。ただ、下押しは143.80円付近にとどまり、引けにかけては144.59円付近まで持ち直している。

 なお、市場では米連邦準備理事会(FRB)が20-21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の3倍にあたる0.75%利上げを実施する可能性を完全に織り込み、1.00%の利上げ予想も浮上。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、1.00%の利上げ確率が38%近辺まで上昇した。

 

・ユーロドルは3日ぶりに反落。8月米CPIの発表を前に思惑的なドル売りが先行すると一時1.0187ドルと日通し高値を付けたものの、米CPIが上振れしたことが伝わると米金利の上昇とともにドル買いが膨らんだ。取引終了間際には一時0.9967ドルと日通し安値を付けた。市場では「再び台頭していた米インフレのピークアウト観測が完全に打ち砕かれた」との声が聞かれた。

 

・オセアニア通貨は軟調だった。ダウ平均が一時1360ドル超下落し今年最大の下げ幅を記録すると、リスクに敏感なオセアニア通貨に売りが集まった。豪ドル米ドルは0.6727米ドル、NZドル米ドルは0.5987米ドルまで売られたほか、豪ドル円は97.20円、NZドル円は86.43円まで値を下げた。

 

・ユーロ円は反落。ドル円の上昇につれた買いとユーロドルの下落につれた売りが交錯し、しばらくは方向感が出なかったが、終盤売られた。米国株の急落が相場の重しとなり、一時144.03円と日通し安値を更新した。

 

・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに大幅反落。下げ幅は一時1360ドルを超え、今年最大となった。8月米CPIが総合・コア指数とも予想を上回ると、FRBの一段の利上げと金融引き締めの長期化観測が高まり、株売りを誘った。市場では「米金融当局はインフレ抑制に没頭しており、米経済がリセッションに陥るまで利上げを継続する公算が大きい」との声が聞かれた。

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も5日ぶりに急反落。下落率は今年最大となった。

 

・米国債券相場で長期ゾーンは続落。8月米CPIが予想を上回ったことで、FRBの一段の利上げと金融引き締めの長期化観測が高まり、債券売りを促した。利回りは一時3.4564%前後と6月16日以来約3カ月ぶりの高水準を付けた。米金融政策の影響を受けやすい米2年債利回りは一時3.7895%前後と2007年11月以来の高水準を更新した。

 

・原油先物相場は4日ぶり反落。8月米CPIの結果を受けてドルが全面高となり、ドル建ての原油は割高感から売りが優勢となった。ただ、ロシアが欧州連合(EU)に供給停止を警告していることが相場の支えとなり下値は限られた。「米政府は戦略石油備蓄(SPR)補充のため、原油を1バレル=80ドル前後で購入することを検討している」との報道も相場の支援材料となった。

 

・金先物相場は3日ぶり反落。予想を上回った8月米CPIの結果を受けて米長期金利が大幅上昇し、金利を生まない金は売りに押された。為替市場でドル高・ユーロ安が進み、ドル建ての金に割高感が生じたことも金の売りを後押しした。

為替情報部 アナリスト

中村 知博

鹿児島出身。2007年国際金融情報サービス会社に入社。 外国為替取引会社・金融機関への24時間リアルタイム金融情報サービスの為替記者として従事。市場動向や見通しなどを解説する動画サービスの業務も経験。 2017年にDZHフィナンシャルリサーチに入社。

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