今回解説していく通貨はニュージーランド(NZ)ドル円(nzd/jpy)です。足もとのNZドル円は短期・中期でいずれもレンジ相場を形成。次の方向性が現れるまで待つ必要があります。ファンダメンタルズでは12月から新たにNZ中銀総裁に就任するブレマン氏の金融政策方針が気になるところです。
今後のNZドル円相場の焦点:12月にRBNZで新総裁が就任、金融政策方針にも変化があるか?
まずはNZの現在の金融政策状況を確認していきます。
NZ準備銀行(RBNZ)は2021年10月に金融引き締めを開始。2023年5月に政策金利を5.50%まで引き上げて、2024年8月から金融緩和局面へと移行しました。現在の政策金利は2.50%です。
●RBNZが金利の引き下げを決めた10月直近会合での声明文では
・インフレ率は2026年前半に目標レンジの中間値である2%程度に回帰すると予想
・ニュージーランドのインフレ見通しには、上振れリスクと下振れリスクがある
・インフレ率が2%の目標レンジ中間値付近で持続的に落ち着くために必要な場合、OCRの更なる引き下げも引き続き検討する」
などの見解が示されました。
11月26日に開催される年内最後の金融政策決定委員会(MPC)では追加の利下げが決定される見込み(2.50%から2.25%へ)となっており、注目は来年以降の金融政策方針となります。今回の声明文からヒントを探りたいところですが、注意しておきたい点が一つ。
RBNZでは12月1日からスウェーデン中央銀行(リクスバンク)の副総裁であるブレマン氏が新総裁に就任するため、次回以降のMPCはブレマン体制下で開催されます。今回の声明文とは別に、新体制下で金融政策方針に変化が生じるかについても今後確認していく必要があるでしょう。
NZドル円の日足分析:現状はレンジ相場のブレイク待ち
まずは日足チャートで足もとのNZドル円相場の流れを確認していきます(下図のチャート)。

4月からの買い戻し基調は8月に入って一服。その後は85-89円のレンジ相場(チャート上の四角で囲った部分)へと移行したようです。
チャート下部に追加した「DMI」で確認しても+DIと-DIが交差を繰り返しており、さらにはトレンドの強さを示すADXも低下基調。いずれも現在のトレンドレスの状況を示唆しており、レンジ相場のブレイク待ちとなっています。
NZドル円の週足分析:中期目線でもレンジ相場
下図のチャートはNZドル円の週足チャートになります。

週足ベースでも「DMI」の+DIと-DIからは明確なトレンドが示唆されず、何よりもトレンドの強さを示すADXがここ数年間で最低水準に位置している点は気になるところです。
ここからは日足分析で紹介したレンジ相場を上下どちらに抜けるかがポイントとなりますが、レンジブレイク後は昨年11月高値の92.47円(チャート上の青色実線)と今年4月安値の79.82円(チャート上の黄色実線)が次の上下の目標になるでしょう。
2020年3月からの上昇トレンドが昨年7月で、その後の下落トレンドが今年4月でそれぞれ終了しており、現在は新たな方向性が示されるまでの待ちの時間。チャート上の上下どちらの実線を試しにいくかで今後の相場の方向性も定まっていきそうです。
今後の取引材料・変動要因をチェック:政府・日銀当局者の言動に注意
最後に今後1カ月間の経済指標や重要イベント等も確認しておきます。最大の注目材料は日・NZ両中銀の金融政策です。日銀については前週末に増審議委員が「利上げ判断が近づいている」との見解を示し、早期の利上げ観測が再浮上。また、ドル円相場に対する円安けん制発言も目立ち始めており、政府・日銀当局者の言動にはしばらく注意が必要となるでしょう。
その他のイベントは以下の通りとなります。
今後1カ月の重要イベント
・11月26日 NZ RBNZ、金融政策決定委員会
・12月19日 日本 11月全国CPI
・12月18-19日 日本 日銀金融政策決定会合


