キオクシアが今株式市場で注目されています。キオクシアと言われてもわからない方もいらっしゃるかもしれませんが、もともとは東芝メモリという会社でした。東芝再編のなかで別会社となり、ファンドの出資なども受けて新たなかたちでスタートしたのが同社になります。
2024年12月に上場。上場時の初値は1440円でした。公開価格の1455円をわずかにではありますが下回る、いわゆる公募割れでの船出。公募割れというのは少々乱暴ではありますが端的に言えば、投資家の人気のなかった銘柄、と言い換えることができるかもしれません。
そんな同社株が2025年11月には上場来高値14405円まで上昇。初値から10倍以上となり、いわゆるテンバガーを達成しました。1年でテンバガーというとものすごいスピードですが、実際には9月ごろまで同社株価は2000円台で推移していますので、直近の上げはさらに急ピッチだったことになります。
キオクシア日足チャート

これほどまでに同社株価が急騰したのは生成AIが関係しています。足もとの相場で株価が上昇している銘柄の多くが生成AI関連銘柄ではありますので、そのこと自体は特に意外感はありません。しかし生成AIの代表格と市場で認識されているアドバンテストやフジクラといった銘柄が2024年から上昇してきたことを考えると、タイミングとしては少し遅いと感じられるかもしれません。
これは生成AIの進化と普及に合わせて、投資家の認識が変化してきたことが影響しています。当初はAI向けに高性能なGPUを提供するエヌビディアが上昇。GPUを製造するために必要なHBMといわれる高性能メモリや検査機が必要となり、アドバンテストなどが業績期待から買われました。
その後、AIを活用するために膨大な計算リソースが必要となり、データセンターの必要性が増したことで関連銘柄が上昇しました。データセンター向けに光ファイバーなどを提供するフジクラが上昇してきたのはこのタイミングです。
さらに、データセンターを稼働させるために電力が足りないということで電力・発電関連が注目されました。新型の原子力発電技術などを有する企業の株価が上昇するようになりました。直近では高性能化が進むAIを十全に稼働させるための電力が足りないということで、データセンターを省電力や高効率で稼働できる企業に期待が集まっています。
キオクシアは最後のこの段階で注目されている企業になります。キオクシアがつくっているのはメモリなんですが、そのメモリのなかでもパソコンのデータ保存などで使用されるNANDフラッシュメモリと呼ばれるものになります。SSDなどで使用されるのが、このNANDフラッシュメモリです。
生成AIではGPUの製造に必要なDRAMメモリのほうが当初から注目され、また関連企業の株価も上昇していました。データセンターにおいても、記憶容量当たりの単価が安いHDDが使用されるケースが多く、NANDはあまり注目されてはきませんでした。
ですが、電力が足りないということになり、より省電力なNANDフラッシュメモリにも注目が集まるようになってきたのです。加えて、キオクシアではエヌビディアと連携し、GPUに直接接続してデータをやりとりできるSSDの開発にも着手しているといわれています。
GPUのメモリは前述したようにHBMと言われるものが使用されていますが、こちらはDRAMと呼ばれる種類になります。これをキオクシアのNANDメモリに一部置き換えられるよう高速化を進めているとされています。
データセンター向けにNANDフラッシュメモリの需要が増えるという動きはまだ本格化しているわけではありませんが、実際に10月ごろからDRAMとあわせてNANDのスポット価格も上昇してきたことで、市場の期待も加速度的に高まり、急ピッチな株価の上昇につながりました。
足もと同社の業績はまだその期待に届く水準とはなっておらず、11月13日に発表した決算を受けて、一時同社株価はストップ安まで売られることもありましたが、実績と期待はまた別物。安くなったところでは押し目買いも入っており、直近では上げるときも下げるときも値動きの荒い展開となっています。
期待と現実とのはざまで株価は激しく揺れ動く日々となっていますが、11月19日(米国時間)には、生成AIの大本ともいえる米エヌビディアが決算を発表。着地も見通しもともに市場予想を上回る好決算だったことで、まだまだAI相場は続きそうに思えます。
ここからキオクシアの株価がどこまで上昇するのか、あるいは目先のピークを付けてしまったのか。引き続き動向を見守っていこうと思います。



