NYダウ平均が「弱気相場」入り 産金大手のニューモントも52週安値を更新

ダウ平均が連日で年初来安値を更新、高値からの下落率は20%を超え「弱気相場」入り


先週の米国市場では、ダウ平均が1232.01ドル安(-4.0%)、S&P500が4.6%安、ナスダック総合が5.1%安とそろって大幅に続落しました。


注目された米連邦公開市場委員会(FOMC)で3会合連続での0.75%の利上げが決定され、FOMCメンバーの金利先行き見通しが大幅に上方修正されたことで、高金利政策の長期化による景気後退(リセッション)懸念が強まりました。


週明け26日の取引でも、ドル高の流れが一段と強まったことや、金利の上昇が引き続き株式相場の重しとなり、主要3指数がそろって5営業日続落となりました。

ダウ平均は329.60ドル安(-1.1%)の29260.81ドルで終了し、先週末に続いて年初来安値を更新しました。1月5日に付けた終値での最高値36799.65ドルからは20.5%安となり、「弱気相場」入りとなりました。

S&P500も1.0%安の3655.04ポイントと、6月安値の3666.77ポイントを割り込んで終了。一時、3644.76ポイントまで下落し、取引時間中の年初来安値3636.87ポイントに迫りました。

 


産金大手のニューモントも52週安値を更新


先週はS&P500採用の503銘柄のうち、97%の487銘柄が下落と全面安となりました。週末金曜日の23日は、150銘柄が52週安値を更新と、6月16日の214銘柄以来の多さとなりました。


こうした中、従来はディフェンシブ株とされる産金株も52週安値を更新しました。

米産金最大手のニューモント(NEM)はS&P500採用で唯一の産金株ですが、先週は5.6%安と3週ぶりに大幅反落し、52週安値を更新しました。

週明け26日の取引でも0.7%安と続落し、年初来では34.6%安となりました。


ニューモントの株価は今年4月18日に86.37ドルの上場来高値を付けましたが、商品先物市場で金相場が下落する中、第1四半期と第2四半期の決算が連続で市場予想を下回ったことが嫌気され、株価は5月以降に急落しました。

第2四半期決算では、賃金やディーゼル燃料費の上昇などのコスト増を背景に1オンス当たりの産金コストを従来の1050ドルから1150ドルに引き上げたことも売り材料となりました。

 


株価急落でニューモントの配当利回りは5.3%に上昇


金相場の下落や弱い決算、インフレによる産金コストの上昇を受けてニューモントの株価は2020年3月以来の安値となる40ドル台まで下落しましたが、株価下落により配当利回りは足もとで5.33%に上昇しました。

産金コスト上昇による利益率の低下が将来の配当原資を減少させる可能性はありますが、配当総額はフリー・キャッシュフローの50-70%程度にとどまっています。


配当利回りがS&P500の2.3%を大きく上回る5.3%台と高いことや、昨年3月以来の水準まで下落した金相場が地政学リスクの高まりなどで反発する可能性、S&P500採用銘柄で唯一の産金株であることなどを考慮すると、2年6カ月ぶりの安値水準にあるニューモントの株価は押し目買いの好機かもしれません。

国際金融情報部 アナリスト

羽土 美幸

富山県出身。国内証券で株式等の営業、仏系証券でポートフォリオ分析、転換社債、エクイティ・デリバティブの分析・開発・営業などを担当。 2014年からDZHフィナンシャルリサーチにおいて米国株式、金融市場レポート編集、海外ETF業務を担当。

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